中学数学の基礎をゼロから徹底理解。 定期テスト対策のためのサイト。 随時更新

工夫が必要な計算とはどのように解くのか

計算問題で「工夫して計算せよ」といったものが出題されます。
例えば$\quad57+16+3\quad$を工夫するならどう計算しますか?
「こんな工夫をしたから正解だ」とか、「あんな工夫をしたからダメだ」といったことはありません。
自分で「こんなふうにやってみた」と思えたものが工夫といえば工夫なんです。
工夫の仕方なんてぶっちゃけ無限にあります。
ただ工夫するからには元々の計算式よりも簡単に、横着できるようにしないと工夫とは言えないですよね?
元々の式より複雑になって計算し難くなったら工夫して答えを出すどころか、苦フゥとため息が出ます。

ということでこのページでは計算の工夫について考えていきます。
問題を解くというよりかは、頭の中を整理していく内容です。

計算の工夫1 順序を入れ替える

元々の式を横着できそうな形にする

計算の工夫とは、元々の計算式よりも簡単なものにすること、つまり横着できるようにすることです。

ただ横着するといっても
計算機を使うとか、
AIに聞くとか、
テストでカンニングするとかそんなことではありません。
自分で式をいじくって楽に計算できるように変形することです。

では冒頭の$\quad57+16+3\quad$はどう計算するか?
もちろん
$57+16=73\quad73+3=76\quad$というように順に計算しても良いでしょう、この程度の計算なら。
でもたし算・ひき算なら順序を入れ替えても問題ないので、
$57+3+16$として考えてみましょう。
すると$57+3=60$となり、そこに$+16$をすれば$76$となりますね。

何を言いたいのかというと、
何も工夫せず順に計算した場合、繰り上がりが生じて少々面倒な計算になります。
でも順序を入れ替えたことで、$60$といったキリが良いまとまりのある数ができ、そこに$+16$をすることで計算しやすい形になったと思います。

入れ替えるのがが工夫かよって思ったかもしれませんが、
例えば$21+75+36-11-30+25\quad$とあった場合、入れ替えると横着できます。

$\begin{align}\quad&\;21+75+36-11-30+25\\=&\;21-11+75+25+36-30\end{align}$
としてみます。すると
$10+100+6\quad$となり$116$とすんなり求められます。

実際に$21+75+36-11-30+25\quad$を入れ替えずに順々に計算してみてください。

で、今これを読んでいるキミは秒で「やってられっかっ!!」とボヤきましたよね。
そう、工夫をしないとやってられません。

計算の工夫2 10や100ができないかを考える

上記の例は入れ替えることで$10$や$100$ができました。これが工夫です。
これの何が工夫なのかというと、

$10$や$100$があることで少なくとも1の位や10の位で繰り上がり、もしくは繰り下がりを考えないで済みます。

これって楽じゃないですか。横着してるじゃないですか。
しかも繰り上がりや繰り下がりを考えないということは、計算ミスする危険が減ります。
計算に慣れててもやっぱり繰り上がりや繰り下がりは面倒だし、それによるミスはあるんです。

でも$10$や$100$があることで計算しやすくなりミスする原因を減らせる。
この工夫、覚えておいて損はありません。

ただ、散々$10$や$100$をつくると書いておきながら、$10$や$100$をつくれないときももちろんあります。
つまり工夫しようにも工夫できないということも当然あるわけです。
そういうときは仕方ないので、地道にコツコツ計算するしかありません。

どうしたら工夫に気づけるのか?

ここまで読むと、
「$10$や$100$をつくる工夫の大切さは解った。でも工夫に気づくにはどうすれば良いのさ!?」
と疑問を持った人も多いと思います。

残念ながらその疑問の答えは、「慣れ」としか言いようがありません。
逆に言うと、計算に慣れてくると自然とああしてみよう、こうしてみようと閃くようになるのです。
毎日少しで良いからペンを持って計算していると、自然と計算に慣れてきて、誰に言われるまでもなくこうしてみようと思えたり閃いたりするようになるのです。

慣れると閃く。これ、数についても言葉についても、イメージについても言えることです。

ところで、なんの脈略もなく強風でふっとびそうな絵と布団の絵を付けました。
で、これらの絵から結構多くの人が一瞬でもあのおやじギャグをイメージしたと思います。
あのおやじギャグをイメージしたのもやっぱり慣れがあるからなんです。

強風でいろいろふっとぶのは日常で体験しているし、特に勉強するまでもない慣れている言葉だと思います。
ふとんはまぁいちいち勉強するまでもない慣れ親しんでいる言葉。
「ふっとぶ」と「ふとん」という慣れている言葉から、いちいち学校で教わらなくてもあれを半ば無意識的に閃いているんです。
だってそうでしょ?
学校の国語の授業でいちいち、ふっとぶとふとんでふとんがふっとんだ、なんて教わらないですよね。
「ふとんがふっとんだなんて学校で教わってないからイメージできません」とはならないですよね。

なんか話が脱線しましたが、工夫は習うより慣れろ。慣れれば閃くようになる
そういうことです。

計算の工夫3 分配法則

$10$や$100$。とても便利な値です。
$\times10$や$\times100$を計算するとき、$\times10$なら単に$0$を$1$つ、$\times100$なら単に$0$を$2$つ書き足せば計算結果を求められましたよね。
例)
$\begin{align}&35\times10=350\\&182\times100=18200\end{align}$

次に$10$や$100$を強引に作り出せないかを念頭に入れた式変形を考えてみます。

例題1
次の式を計算機やAIに頼らず工夫して計算せよ。
$(1)\:\;(25+60)\times4\quad(2)\:\;(23+62)\times4$

$(1)$の考え方
もちろん工夫せずとも答えは出せます。
$\begin{align}(25+60)\times4&=85\times4\\&=340\end{align}$
と。でも、
$\times100$があれば計算しやすい。だから$\times100$を強引に作る。
ことを念頭に式変形してみましょう。

ここで中1で学んだ分配法則
$a\times(b+c)=ab+ac\:$の関係を使ってみます。

$\begin{align}(25+60)\times4&=25\times4+60\times4\\&=100+240\\&=340\end{align}$
これが工夫した計算です。
$60\times4$なら暗算できると思います。
さぁ、ここで次のような疑問を持った人も多いことでしょう。

$\times100$があれば計算しやすいから$\times100$を強引に作るのは解った。
でもどうしていきなり分配法則なんだよっ!?
なんでそんな物が閃くんだっ!!! 工夫どころかややこしくなってるじゃねぇかよ、ああぁ!!!!」と。

確かに工夫でいきなり分配法則といわれて戸惑うのも無理はありません。
でもこれもやっぱり慣れの部分があります。
慣れてるから閃く。例えるなら分配法則が強風です。

さらに計算に慣れていると$25\times4$の形が$=100$と閃きます。例えるならこれがふとんです。

$25\times4$が$=100$なんて閃かないと思う人もいるかもしれませんが、やっぱり慣れです。
$25\times4=100$を暗記する必要はありません。
$25\times4=100$を寝る前にふとんでつぶやく必要もありません。
$25\times4=100$で強引に$100$を作り出すなんて思いつかなくて当然です。
$25\times4=100$に慣れるわけないと思っててかまいません。
$25\times4=100$のことなんて考えないでください。

$(2)$の考え方

  1. $\times100$があると計算しやすい。
  2. $25\times4=100$って覚えなくて良いのに何だか使えそうだと閃いた。
  3. $23$に$2$を足せば$25$になる。ならば$2$を足してしまおう。
  4. $2$を足したらその分を引かないと計算がくるってしまうから$2$を引こう。

この流れで進めます。

$\begin{align}&(23+62)\times4\\=&(23+2-2+62)\times4\\=&(25-2+62)\times4\\=&(25+60)\times4\\=&100+240=340\end{align}$

$(1)(2)$とも結局同じ計算になったことがわかりましたね。
$23$に$2$を足して$25$にするのはまぁ閃きです。
閃きとは言っても$(1)$と似た数値・式だから、何となく$(1)$と同じ様になるんじゃないかぁとも思えますよね?

「ふと〇」  〇の中に入る1文字は何がある?
と聞かれて「ん」と答えても何ら不思議に思わないし、そんなん閃かねぇよ、なんて愚痴らないですよね?
$23$に$2$を足して$25$にするのはそれくらいのものです。

計算の工夫4 因数分解

因数分解とサブタイトルに付けましたが、因数分解自体は中3で学ぶ事柄なので、ここでは分配法則の逆と考えてください。
なお因数分解は、計算の工夫と思わないほど慣れてほしい式変形です。
中3の内容ですが以下のページも参考にしてください。

例題2
次の式を計算機やAIに頼らず工夫して計算せよ。
$(1)\:\;3.14\times60+3.14\times40\quad(2)\:\;3\times64-3\times14$

$(1)$の考え方
$a\times(b+c)=ab+ac\:$の関係を使います。
例題1では(かっこ)があるところから(かっこ)のない形にしましたが、ここではその逆、つまり(かっこ)がついた形に変形します。
中学3年生は工夫と思わずにすんなりできてほしい内容です。

  1. $\times100$があると計算しやすい。
  2. $60$と$40$から$100$を作れそうだ。
  3. $3.14$を(かっこ)の外にくくりだす変形ができそう。

この流れで進めます。

$\begin{align}&3.14\times60+3.14\times40\\=&3.14(60+40)\\=&3.14\times100=314\end{align}$

$(2)$の考え方
$(1)$と同様に進めます。ただここでは$100$ではなく$50$を作ります。
ここまで散々$10$だの$100$だのつくりましたが、それ以外でも計算しやすいまとまったまずを作れれば、それを作った方が絶対に良いです。

$\begin{align}&3\times64-3\times14\\=&3\times(64-14)\\=&3\times50=150\end{align}$

計算の工夫5 キリの良いまとまった数を強引に作る

まとまった数とはいくつのことだと思うかもしれませんが、これといった数はありません
ただ、$1$の位や$10$の位が$0$であると、キリの良いまとまった数といえると思います。

なので$10$や$100$に限らず、$50$や$60$だって計算によってはまとまった数とみなせることもあるでしょう。
実際、例題2の(2)では$50$を作りました。
さらに、問題によっては$150$だってまとまった数として考えると、計算しやすくなることもあるかもしれません。

冒頭にも書きましたが、工夫の方法は無限にあります。
計算しやすい形に変形して、自分で横着して計算できたと思えればそれが工夫です。
もし工夫に気づけなかった地道に計算すれば良いだけのこと。

このページで紹介したのは本当にごく一部の工夫です。
これらを参考にして、新たな工夫の仕方を閃いたらうれしい限りです。