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正負の数 (かっこ)のない計算

唐突ですが、(かっこ)の外にある + や - は計算記号です。
計算記号は省略することができません。

当たり前だ!! って怒らないでくださいよ。これが後々大きな意味を持ってきます。

中学になって正負の数を学習したばかりの頃は $(+3)+(-5)$ の様に、(かっこ)がついた形で計算を進めました。ただそれも学習し始めた頃だけで、通常は$3-5$のように(かっこ)がつかない形で表されます。
なので、(かっこ)がつかない形での計算に早く慣れるようにしましょう。
ここでは(かっこ)のないタイプの計算について解説していきます。

ということで計算の前提として、符号に注目して考えていきます。

異なる符号の計算のしかた

まず計算手順をしっかり押さえてください。

手順
①$+$や$-$の左側でいったん区切って考える
②絶対値(符号を無視した数字だけのこと)を確認
絶対値の大きい方から小さい方を引き算する
④絶対値の大きい方の符号を③の結果につける

●3-5 を例として考えます●

①+や-の左側でいったん区切って考えます。
つまり「3」と「-5」に分けて考えます。
ただ、頭の中でそう考えるだけで、解答する時には解答用紙に特に書くことはしません。

3の左側に符号が書かれていないということは、「+3」ということです。

②絶対値は3と5で、5の方が大きい。
③5-3 を計算して 2
④絶対値の大きい方の符号をつけるから-2が答え

参考までに、$-3+5$ の計算でも考え方は同じです。
-3と+5に分けられるので答えは+2となります。(+は特に書く必要はないので2だけでも正解)

●数直線で確認します●

$3-5$ を数直線で確認します。
もちろん計算で答えが出たら数直線を書く必要はありません。

確かに-2になります。

計算のしかたで迷ったときは数直線に表して考えてください。
でも数字が大きくなると数直線をいちいち書いていられないですよね。
52846-86924なんて問題が出されて数直線を書いていたら、1問解くのに何時間かかるんだって話です。
答えが出る前にため息が出ます。
なので計算の手順をしっかりおさえておくようにしましょう。

同じ符号の計算のしかた

手順
①$+$や$-$の左側でいったん区切って考える
②区切ったそれぞれが同じ符号であることを確認
絶対値をそのまま足し算する
④それぞれの同じ符号を③の結果につける

●$-3-5$ を例として考えます●

①$-3$ と $-5$ に分けます。
②2つとも同じ-符号です。
③$3+5$ を計算して8
④それぞれの同じ符号をつけて$-8$が答え

●数直線で確認します●

$-3-5$ を数直線で確認します。
もちろん計算で答えが出たら数直線を書く必要はありません。

確かに-8になっています。


$+3+5$ の計算はさすがにわかると思うので省略します。

(かっこ)がつく時、つかない時

●計算記号が2つ続く書き方はダメ●

例えば $+3+-5$ とあったらどんな意味だか分かりますか?
たぶんほとんどの人はわからないんですね。というか、正しい書き方でないのでわからなくて当然。
$+-$というように符号が2つ続いているからです。

このように符号が続く時は、必ず後ろの符号に(かっこ)をつけて
$+3+-5$ → $+3+(-5)$ と書きます。
$+3$ の方は符号が続いていないので(かっこ)をつける必要がありません(つけたければつけても良いですが)。

なので $10\div+5$ も正しくなく $10\div(+5)$ とします。
$5\times-6$ も同様 $5\times(-6)$ と表します。

●(かっこ)の外し方の理屈●

$(+3)+(-5)$ は $3-5$ と表せます。なぜか?
ここで $(+3)+(-5)$ を詳しく見ていきます。

(かっこ)の外にある $+$ は計算記号です。
つまり「足し算をやれ」といういわば命令みたいなもの。
命令する記号が無ければ何をすれば良いのかがわかりませんよね。だから省略することはできません

それに対し、(かっこ)の中にある $+$ や $-$ は 「その数字そのもの」を表しています。
あくまでも0より大きいか小さいかを表す記号。だから命令ではない
なので「0より大きい」を表す + については、省略することができます。というより通常省略します。

小学校の時に扱った数は0以上の数字なので、「本来$+2$と書くべきところを、省略した$2$の形で書いていた」と思ってください。
$1+2$という小学1年生が扱う足し算も、誤解のない様に細かく書くとすれば$(+1)+(+2)$となります。

$(+3)+(-5)$ を言葉で表すと
「+3という数字と$-$5という数字を足し算せよ
ということになります。
この+3は、「0より3大きい数そのもの」を表しているので、この+は省略できます。
一方$-$5は、「0より5小さい数そのもの」を表していますが、$-$なので省略はできません。
したがって、$3+(-5)$ と書いても同じことになります。

ここでさらに、$+(-5)$ の部分を見ていきます。
(かっこ)がついた計算の「数直線での考え方」を思い出してください。
$+$があるから数直線上では右に進みたい。でも直後に$(-5)$の$-$があるから「やっぱり逆方向に進んで」という様に、反対の意味にしました。

つまり$+$があるけど実際は引き算になって数直線上では左方向に進むことになった。

ここが一番強調したいところ。
「引き算で数直線上では左に進む」を表す計算記号は$-$ですよね。計算記号は省略できません。
この時点で $+(-5)$ の$+$は $-$ となります。
そして、「左にそのままの方向へ5突き進め」ということになるので(+5)と表現できます。
ということは、$+(-5)$ は $-(+5)$ となってくるのです。
ここで、(かっこ)の中にある$+$は数字そのものの大きさを表しているので省略できました。
つまり、$-(+5)$ は $-5$ と書ける。
なので結局 $(+3)+(-5)$ は $3-5$ となるのです。
この2つは見た目は違うけど同じことを表しています。

●(かっこ)がない式に(かっこ)をつける方法●

(かっこ)がない形の式で戸惑う人は、いったん(かっこ)がついた形に書き直して考えましょう。
ただし、(かっこ)がない状態の式で計算を進めていくのが通常なので、できるだけ早い段階で(かっこ)のない形の式に慣れてください。

手順 $4-6$を例として
(かっこ)がない状態での$+$や$-$は計算記号だから省略しない。
 $4-6$ ← この$-$は命令だから省略不可
数字だけに注目し、$(+ )$ の形を作る。
 $4$ → $(+4)$  $6$ → $(+6)$

 ①②より$(+4)-(+6)$となる。

(かっこ)の外し方 つけかた まとめ

色々と理屈を書いてきましたが、次の枠内の様に変形できることをしっかりおさえましょう。

外し方
$+(+a)=+a$
$+(-a)=-a$
$-(+a)=-a$
$-(-a)=+a$

つけ方
$+a=+(+a)$
$+a=-(-a)$
$-a=-(+a)$
$-a=+(-a)$

計算に苦手意識を持っている生徒の多くは、この部分の変形のしかたがあやふやなままになっている傾向にあります。
基本的な内容なので、変形した形だけを覚えるのではなく、理屈から理解しましょう。