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方程式の文章題 速さの問題の考え方

ここでは速さに関する方程式の文章題を解説します。
その前に、方程式の文章題を解く4つの手順を確認しておきましょう。

  1. ふつう求めるものを$x$とする
  2. 数量関係に注意して方程式を作る
  3. 作った方程式を解く
  4. 求めた解が正しいか確かめる

この4つの手順はしっかりおさえてください。

方程式の文章題 追いつく関係を式

速さの問題では、小学校の時に学んだあの関係式を使います。

道のり(距離)・速さ・時間。
この3つの言葉のうちどれか1つでも出たら
(道のり)=(速さ)×(時間)
の関係を思い出すように

みはじの式と教わった人も多いと思います。
木の下で、ハゲたじいさん見ているよ、と教わった人もいるかもしれません。
この関係式を思い出せないと速さの問題は解けません。忘れていた人はここで覚えてしまいましょう。

それでは基本例題を使って、速さの問題を考えていきます。

基本例題 よしおは朝7時に家を出て、1800m離れた学校へ歩いて向かった。その9分後によしこが走ってよしおを追いかけた。よしおの歩く速さは分速60m、よしこの走る速さは分速240mだったとする。このとき、よしこがよしおに追いつくのは、よしこが家を出てから何分後か?

考え方 (道のり)=(速さ)×(時間)
求めるものは「よしこが家を出てから何分後に追いつくか」なので、「よしこが家を出てから$x$分後に追いつく」として考えます。

この問題は「追いつく」というのがキーワード。
追いつくとは、
「よしおが進んだ距離」「よしこが進んだ距離」が同じということ。

なので、
よしおが進んだ距離を式で表し、さらに、
よしこが進んだ距離も式で表します。

そして2人が進んだ距離が同じなので、それぞれの式を=で結びます。これで方程式の出来上がり。

式を作る時は「時間の関係」に注意しましょう。
よしおがよしこより9分長く歩いています。

解答 よしこが家を出てから$x$分後に追いついたとすると、
よしおはよしこより9分長く歩いたことになるので、
よしおが進んだ距離は
$60\times$$(x+9)$ $m$

よしこが進んだ距離は
$240\times$$x$ $m$

これより方程式は
$60\times$$(x+9)$=$240\times$$x$ となる。
これを解くと

$60x+540=240x$

$60x-240x=-540$

$-180x=-540$

$x=3$

よって、3分後に追いつく。

←手順①ふつう求めるものを$x$とする

←道のり=速さ×時間
「よしこが家を出てから$x$分後」としたので、よしおの歩いた時間は$(x+9)$と表せる

ここまで解答できれば十分ですが、解が正しいかどうか確認します(手順④)。
よしおは12分歩いていたことになるので、よしおの移動距離は
$60\times12=720 m$
よしこは3分追いかけたことになるので、よしこの移動距離は
$240\times3=720 m$

移動距離が同じ720なので、$x=3$が正しいと分かりました。

もし移動距離の計算結果が1800を超えてしまうと、「学校を過ぎたところで追いつくって、学校サボってどっか遊びに行くのか!!」 というツッコミを食らいます。

慣れるまでは図を描こう

速さの問題では関係を簡単な図に表してみると考えやすくなります。
上記の基本例題を図に表すと次のようになります。

この図で、
赤い矢印をよしおが歩いていた時間
黒い矢印をよしこが追いかけた時間としました。
そして赤の縦線を追いついた時間として表しています。
よしおが先に家を出たから、よしこよりも長い時間歩くのはわかりますよね。
そのため、よしおが歩いた時間は$(x+9)$となります。

実はこの問題を解くにあたって、1800mというのは全く関係ない事柄でした。

図を描くのが苦手なら、次のような表を作ってみると良いでしょう。

●目のつけどころ●

ところでこの問題、
速さについては毎分60m、毎分240mと数値ではっきり書かれています。
時間については7時と9分後だけですが、一応数値としての手がかりがあります。
道のりについては解答に無関係な1800を除いて、一切数値としての手がかりがありません。

このように、数値の手がかりが無いものを式で表していくと、何を方程式に表せば良いかが見やすくなります。

全ての問題でうまく解ける考え方というわけではないですが、何をどのようにして方程式を立てれば良いのかがわからない時は、このことを思い出して進めましょう。

時間差に注目するタイプの問題

速さの問題でよく出題される、「時間差」についても見ておきましょう。

基本例題2 家からコンビニまで分速50m の速さで歩くのと、分速80mの速さで歩くのとでは、かかる時間が3分違う。家からコンビニまで何mあるか。

考え方 求めるもの:家からコンビニまでの距離→$x$とする

問題文から読み取れる情報を表にしました。
ここで困るのが「何を方程式として表すか?」
距離=速さ×時間 の関係から距離を表す方程式が作れそうです。

でもこの問題の場合、「時間」をどう表すかがとても厄介です。
なぜなら$x$mの距離を移動するのに、分速50mでも分速80mでも、どれだけ時間がかかるのかの手がかりがないから。

なので距離=速さ×時間 の関係に当てはめて方程式を作るにはちょっと無理があります。
別の方法で方程式を考えましょう。ということで、

時間差の3分に着目し、時間についての方程式を考えます。

$x$mの距離を分速50mで行くのと分速80mで行くのとではどちらが時間が長くかかりますか?
というと当然分速50mですよね。
では$x$mの距離を分速50mで移動すると時間はどれだけかかるか。
道のり÷速さで
$x\div50=\dfrac{x}{50}$分です。
同様に分速80mで移動するとその時間は
$x\div80=\dfrac{x}{80}$分です。
時間差は3分。

長く時間がかかる方から短く済む方を引いてその差が3分。
この関係を方程式にします。

解答 家からコンビニまでの距離を$x$mとする。

分速50mで移動する時にかかる時間は$\dfrac{x}{50}$

分速80mで移動する時にかかる時間は$\dfrac{x}{80}$

時間差が3分なので

$\dfrac{x}{50}-\dfrac{x}{80}=3$

$400\times\dfrac{x}{50}-400\times\dfrac{x}{80}=400\times3$

$8x-5x=1200$

$3x=1200$

$x=400$

よって家からコンビニまで400mある。

補足 方程式を作る時は基本的に、問題文にズバリ書いてある等しい数量関係のものを=で結びます。
基本例題1では道のりが等しかったので、距離の式を=で結びました。

しかし基本例題2では、等しい条件としてわかっている距離を=で結ぶのではなく、時間差が3分になることを利用し、少し手を加えて=で結べるように式を作り出しました。
問題によっては、問題文にズバリ書いてある等しい数量関係を=で結ぶやり方が上手くいかない時も出てきます。
そのような時は、問題文から他に何か等しい関係が隠れてないかを読み取るしかありません。

求めないものを$x$として解く方法

ここまでは、方程式の文章題を解く手順をしっかり覚えてもらうために、基本に沿った解き方を示してきました。
改めて方程式の文章題を解く手順を振り返ります。

  1. ふつう求めるものを$x$とする
  2. 数量関係に注意して方程式を作る
  3. 作った方程式を解く
  4. 求めた解が正しいか確かめる

手順①に「ふつう」とありますよね?
じゃぁ、ふつうじゃない時があるのかというと、あります
つまり求めるものではなく、別のものを$x$として解いていく。
そのふつうじゃない解き方で、改めて基本例題2を解いてみます。

基本例題2 家からコンビニまで分速50m の速さで歩くのと、分速80mの速さで歩くのとでは、かかる時間が3分違う。家からコンビニまで何mあるか。

考え方 この問題の厄介な所は、どれだけ時間がかかるのかの手がかりがないということでした。
そこで、手がかりがないからこそ時間について$x$を使い、方程式を作ります。
分速50mで移動する時にかかる時間を$x$とすると、分速80mで移動する時は3分短くなるので、その時間は$(x-3)$となります。

すると家からコンビニまでの距離
$50\times$$x$ と $80\times(x-3)$
で2つ式を作れます。
この2つの式は同じ距離を表しているので=で結び方程式の出来上がり。あとは解くだけです。

解答 分速50mで移動する時にかかる時間を$x$とすると
家からコンビニまでの距離は
$50\times$$x$ と $80\times(x-3)$ で表せる。

$50\times$$x$$=80\times(x-3)$

$50x=80x-240$

$-30x=-240$

$x=8$

これより分速50mで移動すると8分かかることがわかった。
したがって家からコンビニまでの距離は

$50\times8=400$ より 400mある。

速さの文章題に限ったことではないですが、
求めないものを$x$とした方が方程式を作りやすいこともよくあります。
でも、繰り返しにはなりますが、方程式の文章題を解く手順①「ふつう求めるものを$x$とする」は基本的な考え方です。
なのでこの手順はしっかりおさえておきましょう。
そのうえでうまく方程式を作れない時は、求めないものを$x$として方程式を作っていきましょう。