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等式の変形 $x$について解く とは

等式の変形の解き方

等式の変形の問題は、「$x$について解きなさい」「$h$について解きなさい」などのように出題されます。
答え方は左辺に解く文字がある項を集め、それ以外の項を右辺に集めます。
そして、$x=~$のように解く文字に係数がつかない形をつくります。もちろん$~$の部分は式や数値になります。

等式の変形の解き方

  1. 解く文字がある項を左辺、それ以外の項を右辺に移項する
  2. 解く文字の係数で両辺を割る
  3. 解く文字$=~$の形で答える

分数を含むものや(かっこ)を含むものなど、どんなに複雑な等式の変形でも結局はこの流れに沿って進めます。

この流れを踏まえ、等式の変形の解き方を理解しましょう。

等式の変形の流れを覚える基本例題

基本例題1
$x+y=3$を$x$について解け。

解答
$x=-y+3$

解説
$x=~$と答えるために、単純に$+y$を移項しただけです。
この例題は等式の変形の超基本なので、まずはこの解き方をしっかり覚えてください。
もちろん移項する時は符号が変わります。

基本例題2
$5x+y=3$を$x$について解け。

考え方
$x=~$として$x$に係数がつかない形で答えます。そのために$x$の係数で両辺を割ります。

解答
$5x+y=3$

$5x=-y+3$

←左辺に$x$がある項を集める

$x=-\dfrac{1}{5}y+\dfrac{3}{5}$ ($x=\dfrac{-y+3}{5}$も可)

←$x$の係数で両辺をわる

解説
基本例題1と同様、こちらも解き方をしっかり覚えてください。
ある文字について解くときは、必ず係数がつかない形にして答えます。
$5x=-y+3$のまま終えてしまうと、テストでは×がつきます。
$x$の係数で両辺を割ることを忘れずに。

ちなみに$y$について解け、とあったら
$y=-5x+3$です。

基本例題3
$V=\dfrac{1}{3}sh$を$h$について解け。

考え方
分数を含む式でも答え方は同じです。
$\dfrac{1}{3}sh$は$\dfrac{1}{3}\times$$s$$\times$$h$です。
$h=~$と答えるために分母を消します。
消すといっても消しゴムで消すのではなく分母を払う、つまり分母の数を両辺にかけます。
$h$について解くので、$s$は係数とみなして進めます。

解答
$V=\dfrac{1}{3}sh$
$\dfrac{1}{3}sh=V$

$\dfrac{1}{3}\times$$s$$\times$$h=V$

←$h=~$の形にするため両辺を3倍する。

$sh=3V$

$h=\dfrac{3V}{s}$

←便宜的に$s$を係数とみなし、両辺を$s$でわる。

解説
$h$について解くとき、他の文字は係数とみなして進めます。
そのため最後は$s$で両辺を割っています。
(両辺に$\dfrac{1}{s}$をかけています)

基本例題を3つ挙げましたが、ここまで理解できていれば等式の変形の9割は理解したと思って良いでしょう。
等式の変形を難しいと感じてしまう人は、分数の式や(かっこ)がある式で考えが止まってしまう様に感じます。逆に言えば、それらの考え方が分かってしまえば等式の変形は完全に理解できているともいえます。
ということで、次に少しレベルアップした等式の変形を練習していきましょう。
冒頭に紹介した解き方の流れを踏まえて考えてください。

(かっこ)があるときの等式の変形

基本例題4
$S=\dfrac{1}{2}(a+b)h$を$a$について解け。

考え方
(かっこ)の中はひとまとまりの値として考えます。
いったん$(a+b)$を$A$と置き換えて考えてみましょう。
すると・・・、基本例題3と似た問題に見えてきませんか?

解答
$(a+b)=A$とすると$S=\dfrac{1}{2}(a+b)h$は
$S=\dfrac{1}{2}Ah$ とおける。
これを$A$について解くと、
$2S=Ah$
$Ah=2S$
$A=\dfrac{2S}{h}$
ここで$A$をもとに戻すと
$(a+b)=\dfrac{2S}h$
$a=\dfrac{2S}{h}-b$

解説
計算に慣れないうちは(かっこ)の扱いに困るものです。
そんな時は(かっこ)の中はひとまとまりの値として考える、つまりいったん別の文字に置き換えると少しだけ計算式が見やすくなります。
この考え方は、等式の変形だけでなく色々な問題で使えるので覚えておきましょう。
ただ、自分で勝手に別の文字に置き換えた時は、最後に必ずもとに戻すこと。
もちろん計算に慣れてきたら別の文字に置き換えることなく進めましょう。

別解
$S=\dfrac{1}{2}(a+b)h$

$S=\dfrac{1}{2}ah+\dfrac{1}{2}bh$

$-\dfrac{1}{2}ah=-S+\dfrac{1}{2}bh$

$\dfrac{1}{2}ah=S-\dfrac{1}{2}bh$

$ah=2S-bh$

$a=\dfrac{2S-bh}{h}$

$a=\dfrac{2S}{h}-b$

解説
別解では(かっこ)をはずしてから等式の変形を進めています。つまり(かっこ)の中をひとまとまりの値として考えていない解き方をしています。
最終的に$a=~$の形で答えれば良いのでどのような進め方をしても構わないのですが、別解は少々手間がかかります。

基本例題5
$a=\dfrac{b+c}{3}$を$c$について解け。

考え方
分数タイプの等式の変形で分子が文字式になっているときは、分子をひとまとまりの値として考えます。
いったん$b+c$を$B$と置き換えて考えてみましょう。
自分で勝手に別の文字に置き換えたときは、必ずもとに戻します。

解答
$b+c=B$とすると$a=\dfrac{b+c}{3}$は

$a=\dfrac{B}{3}$とおける。

$3a=B$

$3a=b+c$

$b+c=3a$

$c=3a-b$

等式の変形は数学の問題を解き進めるための手段だと思ってください。
なので等式の変形ができるようになって終わりではなく、できるようになってからさらに続きがあります。
そのため、変形の仕方をしっかり理解しておく必要があります。