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連立方程式 加減法の解き方

連立方程式とは

連立方程式とは、複数の方程式を組み合わせて複数の文字の値を求める方程式のことをいいます。
中学2年で学ぶ連立方程式は、その最も初歩的な二元一次方程式の解法を学びます。
二元とは2種類の文字が含まれる式のことです。

連立方程式は次のような形をしています。

$\begin{cases}x+y=3\\2x+3y=7\end{cases}$

このように2つの方程式から$x$と$y$の値を求めていきます。
2つの文字の値を求めるためには方程式が2つ必要だと考えてください。

方程式の答え(上の例では$x$と$y$のこと)を解(かい)といいます。
そして2つの方程式の$x$はそれぞれ同じ値を取り、$y$は$y$でやはりそれぞれ同じ値を取ります。
ちなみに上の例では$x=2,y=1$となります。

連立方程式の解き方 2つの方法

連立方程式の解き方加減法代入法の2通りの解き方があります。
このページでは加減法の解き方を解説しますが、どちらの方法でも解けるようにしましょう。
ところで中2で学ぶ連立方程式は、2つの文字について解を求めます。つまり答えを2つ求めます。
しかし2つの解を同時に求めようとしても不可能で、1つずつ求めていくことになります。
1つずつ解を求めていくには、いったん1つの文字を消さないと求められません。
その文字を消す方法が加減法代入法というわけです。

連立方程式を解く手順

  1. 加減法もしくは代入法で、2つの文字のうち1つを消す
  2. 残した文字について解を求める
  3. ①で消した文字の解を求める
  4. 求めた2つの解が正しいかを確認する

とここで、そもそも加減法って何よ!! と思った人も多いと思います。
ということで加減法の解き方を見ていきましょう。

加減法は係数に注目する

加減法とは、2つの方程式を足したり引いたりしながら1つの文字を消す解き方をいいます。
問題により$x$か$y$のどちらか消しやすい方を消します。
ここではどのようにして消していくのかを覚えてください。
ちなみに消すことを消去といいます。
次の基本例題で加減法の解き方を見ていきましょう。

基本例題1
連立方程式
$\begin{cases}4x+y=9&①\\3x+y=7&②\end{cases}$
を加減法で解け。

考え方
連立方程式を見たら方程式に番号をふりましょう。
$x$か$y$のどちらかを消去しますが、ここでは$y$を消去します。
(①の式)$-$(②の式)を計算すると$y$を消去できます。
方程式-方程式の計算を初めて見る人も多いと思いますが、よく使う方法です。覚えておきましょう。
後は連立方程式を解く手順に沿って進めます。
解答
$\begin{cases}4x+y=9&①\\3x+y=7&②\end{cases}$

①-②より
$\begin{align}4x+y&=9\\-)3x+y&=7\\x&=2\end{align}$

$x=2$を②に代入すると
$\begin{align}3\times2+y&=7\\6+y&=7\\y&=1\end{align}$

$x=2,y=1$を①に代入すると
$4\times2+1=9$
となり計算が成り立つ
よって求める解は
$x=2,y=1$

解説 消去について
①と②の方程式では、$y$の係数がともに$1$でした。
このように、係数が同じときにそれぞれの方程式を引く(もしくは足す)と文字を消去できます
つまり加減法で解くときは係数が同じ値になっている必要があります。

ならば係数が同じ値ではない場合はどうすれば良いのか?
それを冒頭に挙げた連立方程式で見ていきます。

係数が異なるときの加減法

基本例題2
連立方程式
$\begin{cases}x+y=3&①\\2x+3y=7&②\end{cases}$
を加減法で解け。

考え方
①と②の$x$の係数は一致していません。
また、①と②の$y$の係数も一致していません。
このまま①-②あるいは①+②を計算しても係数を消せません。
そこで一工夫必要になってきます。
その工夫が「係数を合わせるために方程式にかけ算をする」こと。
解答を見ながら理解していきましょう。

解答
$\begin{cases}x+y=3&①\\2x+3y=7&②\end{cases}$

←①、②と番号をつけておく

$\begin{cases}2x+2y=6&①´\\2x+3y=7&②\end{cases}$

①´$-$②より
$\begin{align}2x+2y=6\\-)2x+3y=7\end{align}$

$-y=-1$

$y=1$

←残した$y$の解が求まった

$y=1$を①に代入すると
$x+1=3$

$x=2$

$x=2,y=1$を②に当てはめると
$4+3=7$で計算が成り立つ
よって $x=2,y=1$

解説
加減法で方程式を解くときは係数に注目します。
その時係数が一致していない場合は、一方の式、あるいは両方の式を何倍かして強引に係数を合わせます。
どの式を何倍するかは問題によって変わってくるので、その都度判断していきます。
次に両方の式を何倍かして係数をそろえる問題を見ていきます。

基本例題3
連立方程式
$\begin{cases}\begin{align}-5x+4y=6&&①\\2x-3y=-1&&②\end{align}\end{cases}$
を加減法で解け。

考え方
一方の式だけを何倍かしても係数が合わないときは、両方の式を何倍かして係数をそろえます。
このとき、最小公倍数に注目するとうまくいきます。

解答
$\begin{cases}\begin{align}-5x+4y=6&&①\\2x-3y=-1&&②\end{align}\end{cases}$

$①\times2$より
$\begin{align}2\times(-5x+4y)&=6\times2&\\-10x+8y&=12 ①´&\end{align}$

$②\times5$より
$\begin{align}5\times(2x-3y)&=-1\times5\\10x-15y&=-5 ②´\end{align} $

これより
$\begin{cases}\begin{align}-10x+8y=12&  ①´\\10x-15y=-5&  ②´\end{align}\end{cases}$

①´$+$②´より
$\begin{align} -10x+8y&=12\\+)  10x-15y&=-5\\-7y=7\\ y=-1\end{align}$

$y=-1$を①に代入
$\begin{align}-5x+4\times(-1)=6\\-5x-4=6\\-5x=10\\x=-2\end{align}$

よって $x=-2,y=-1$

解説
解答では$x$を消去するために、$5$と$2$の最小公倍数に注目しました。そこで$①\times2$、$②\times5$としたわけです。
$y$を消去して解くこともできます。練習として$y$を消去して解いてみてください。当然解は同じになります。

基本例題3レベルの問題を解けるようになれば、加減法については一通り理解したことになります。
ここまでの解き方の理屈が分かれば、分数や小数タイプの連立方程式も自力で解けるはずです。

ここまで加減法の基本的な問題を紹介しましたが、次に少しだけレベルを上げた問題を紹介します。
入試問題にもよく出題されるタイプの連立方程式ですが、理屈がわかってしまえば簡単です。

連立方程式 $A=B=C$ タイプ

3本の式が=で結ばれている形は中学数学ではあまり見かけませんが、関数の問題では時々見られます。
3本の式が等しいということを連立方程式として表していきます。
実際に問題を見てみましょう。

基本例題4
連立方程式
$2x+2y+1=3x-y=3$
を加減法で解け。

考え方
3本の式が$=$で結ばれています($3$も式と見ている)。
これは、
$2x+2y+1$は$3$と等しく、
$3x-y$も$3$と等しいということです。
この関係を式で表すと
$2x+2y+1=3$ ①であり、
$3x-y=3$ ②でもあります。
すると、①と②で連立方程式を作れますね。

解答
$2x+2y+1=3x-y=3$より
$2x+2y+1=3$
これを変形して
$2x+2y=2$ ①´

これと②より連立方程式
$\begin{align}\begin{cases}2x+2y=2&①´\\3x-y=3&②\end{cases}\end{align}$

②$\times2$より
$2\times(3x-y)=3\times2$
$6x-2y=6$ ②´

①´$+$②´より
$\begin{align}2x+2y=2\\+)6x-2y=6\\8x=8\\x=1\end{align}$

$x=1$を②に代入すると
$\begin{align}3\times1-y&=3\\3-y&=3\\-y&=3-3\\-y&=0\\y&=0\end{align}$
よって $x=1,y=0$

解説
$A=B=C$の形を見たら、$A,B,C$それぞれが等しいということなので、
$\begin{align}\begin{cases}A=B\\A=C\end{cases}\end{align}$
の形で連立方程式を作ります。
もちろん
$\begin{align}\begin{cases}A=C\\B=C\end{cases}\end{align}$
の形でもかまいません。
どのような式の組み合わせにするかは、問題を見てその都度考えていきます。
ただ、基本例題のように数値のみのものがあるときは
式=数値 の形を2つ作ると少しだけ計算がラクになります。

加減法ではそれぞれの文字の係数に注目
係数が一致していない時は式を何倍かして係数を合わせる