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分数タイプの方程式の解き方

ここでは分数を含む方程式の解き方について解説します。
また分子が式の形のときの約分についても詳しく解説していきます。

分数タイプの方程式は、分数の面倒な計算を少しでも簡単にするためにちょっとした工夫をします。
まずはその工夫とは何かを紹介します。

分母を払う

払うとは「邪魔な物、不要な物を手や道具を使って取り除くこと」をいいます。
つまり分母を払うとは、「方程式の計算で分数は邪魔だから消してしまえ!!」ということ。消すといっても消しゴムで消すのではなく、分数の分母に注目します。
次の例を使って確認しましょう。

基本例題1 方程式 $\dfrac{2}{5}x=6$ を解け。

分数タイプの方程式としては、基本中の基本の形です。
今後学習するもっと複雑な分数タイプの方程式で解き方に迷ったときは、この問題までさかのぼって確認するようにしましょう。

考え方 方程式の答え方$x=$の形を作るには、分母の$5$が邪魔です。なので両辺に分母の$5$をかけます。これが「分母を払う」ということです。

解答 $\dfrac{2}{5}x=6$
両辺に分母の$5$をかけて
$5\times\dfrac{2}{5}x=6\times5$
   $2x=30$
   $x=15$

分母の$5$をかけたことで分数部分が約分でき、分数が無くなりました。
このように分数を含む方程式は、分母に注目してその数をかけていきます。
なのでもし分母が$2$だとしたら$2$を両辺にかければ良いし、分母が$100$だとしたら$100$を両辺にかければ良いのです。
どうしてそんなことをして良いのかというと、等式の性質があるからです。

この問題の解き方をしっかりとおさえておいてください。
では次を見てみましょう。

基本例題2 方程式$\dfrac{5}{6}x-\dfrac{4}{3}=4$ を解け。

考え方 分数が2つありますが、それぞれ分母が違います。このような時は「分母の最小公倍数を両辺にかける」ようにして分母を払います。

解答 $\dfrac{5}{6}x-\dfrac{4}{3}=4$
両辺に6と3の最小公倍数である6をかけると
$6\times(\dfrac{5}{6}x-\dfrac{4}{3})=4\times6$

解答の途中ですが超重要なことなので補足!!
分母の最小公倍数の6を両辺にかける。これは大丈夫だと思います。
ここで大事なのが、両辺すべての項に対して最小公倍数をかけます。そのため左辺に一度(かっこ)をつけた形にしました。
でもどのみち分配法則で(かっこ)をはずすので、いきなり次の行の様に計算を進めても構いません。
ということで解答続き、

$6\times\dfrac{5}{6}x-6\times\dfrac{4}{3}=4\times6$

$5x-8=24$

  $5x=24+8$

  $5x=32$

  $ x=\dfrac{32}{5}$

分数のまま計算を進めても良いのですが、分数はやっぱり面倒です。できればラクをしたい。そのラクをするための手段が分母を払うということです。

分数タイプの方程式は分母を払って計算。そのために分母の最小公倍数を全ての項にかける。

次に、ほんの少し複雑になった分数タイプの方程式を見ていきます。

分子が式の形の方程式

テストでよく狙われるのが次のような形の方程式です。分子の扱い方に注意が必要です。

基本例題2´ 方程式$\dfrac{5x-8}{6}=4$ を解け。

考え方 分子が式の形で長いです。この長い形のものをひとまとまりの数値とみなします。なので(かっこ)をつけます。もちろん分母を払います。

解答 $\dfrac{5x-8}{6}=4$

$6\times\dfrac{(5x-8)}{6}=4\times6$

$5x-8=24$

  $5x=24+8$

   $ x =\dfrac{32}{5}$

補足 この基本例題2´についていうと、2行目のところの$6$と$6$で約分でき、結果として(かっこ)をつけなくても計算を進めることができます。でも今後より複雑な分数タイプの方程式が出てきますので、分子が式の形になっている時は必ず分子に(かっこ)をつけておくようにしましょう。
ちなみに基本例題2と基本例題2´は、見た目は違うけど同じ問題でした。

分子が式の形の時は、分子をひとまとまりの数値とみなすので(かっこ)をつける。

それでは最後に、ここまでの総まとめとなる1問を解いてみましょう。

例題 方程式$\dfrac{x-2}{4}=\dfrac{x+5}{6}$を解け。

考え方 分子が式の形、分母がそれぞれ違う、ということは・・・

解答 $\dfrac{x-2}{4}=\dfrac{x+5}{6}$

分母の最小公倍数12を両辺にかけて

$12\times\dfrac{(x-2)}{4}=12\times\dfrac{(x+5)}{6}$

それぞれ約分して

←(かっこ)をつけないとここで計算ミスが生じる

$3(x-2)=2(x+5)$

 $3x-6=2x+10$

←分配法則に注意!!

$3x-2x=10+6$

   $x=16$

パッと見て難しそうな分数を含む方程式も、1つ1つていねいにやっていけば決して難しくありません。
ならば、どうして多くの中学生が分数タイプの方程式を難しく感じてしまうのかというと、約分をどうすれば良いのかで迷うから。
ということで、分子が式の形で約分が絡んでくる時についてまとめておきます。

分子が式の形で約分をするとき

●分子がかけ算のとき●

例えば、$\dfrac{3\times8}{4}$を約分する時は、分子の$8$と分母の$4$を約分して、結果「$6$」となりますよね。
何を言いたいのかというと、
分子がかけ算になっている時は、分子の数値どれか1つが分母と約分できればそのまま約分しました。

●分子が足し算・引き算のとき●

では、$\dfrac{3+8}{4}$は約分できるかどうか?
結論から先にいうと約分できません。$\dfrac{11}{4}$となります。
これは分子が足し算になっています。
分子が足し算や引き算の時は、分母・分子それぞれ全部の数値が共通の数値で割れないと約分できません。

なので$\dfrac{6+8}{4}$なら、$6$、$8$、$4$それぞれが共通の数値「$2$」で割れるので約分できます。
$\dfrac{3+4}{2}$と約分でき、$\dfrac{7}{2}$と求められます。

ここまでは小学校の内容なので、忘れていた人はしっかり確認しておいてください。
さぁ、次からが本題。

●分子が文字を含む式のとき●

$\dfrac{3x+8}{4}$は約分できるでしょうか?

分子が足し算ですね。$3x$、$8$、$4$それぞれが共通の数値で割れません。
なので約分できません。

もし$\dfrac{6x+8}{4}$なら、$6x$、$8$、$4$それぞれが共通の数値「$2$」で割れるので約分でき$\dfrac{3x+4}{2}$となります。

では、$\dfrac{6(3x+4)}{2}$は約分できるでしょうか?

繰り返し書いてあることですが、(かっこ)の中はひとまとまりの数値とみなします。つまり$3x+4$を1つの数値と考えます。なので、分子はかけ算の形になっていると考えていきます。

となると、$6$と$2$で約分できて$3(3x+4)$となります。で、分配法則を当てはめるなら$9x+12$と進んでいくわけです。

ならば、$\dfrac{5(3x+4)}{2}$は約分できますか?

ここまでくるとわかりますよね。
分子はかけ算の形と考えますが、約分しようがありません。