中学数学の基礎をゼロから徹底理解。 定期テスト対策のためのサイト。 随時更新

連立方程式の文章題 解き方のコツ

ここでは連立方程式の作り方を理解し、解き方のコツを身につけていきます。
連立方程式の文章題といっても、基本的な考え方は中1で学んだ方程式の文章題の解き方と何ら変わりません。中1の内容を復習すればそれが連立方程式の文章問題の解き方を学んだことにもなります。
中1の内容との違いといえば、$x$、$y$を使うことと、式を2本つくること。
それでは、方程式の文章題を解く手順を確認してから本題に入ります。

連立方程式の文章題の解き方

  1. ふつう求めるものを$x$、$y$とする
  2. 数量関係に注意して方程式を作る
  3. 作った方程式を解く
  4. 求めた解が正しいか確かめる

連立方程式の文章題 個数と代金

基本例題1
$1$個$90$円のアイスと$1$個$120$円のシュークリームをあわせて$9$個買ったら、代金は$930$円となった。
アイスとシュークリームの買った個数をそれぞれ求めよ。

考え方
求めるものを$x$、$y$とする。
ここではアイスを$x$個、シュークリームを$y$個買ったとする。
個数に関する式代金に関する連立方程式を作り、連立方程式として解く。

解答
アイスを$x$個、シュークリームを$y$個買ったとする。
アイスとシュークリームをあわせて$9$個買ったので
$x+y=9$・・・①
代金の合計は$930$円なので
$90x+120y=930$・・・②
①、②を連立方程式として解くと
$\begin{cases}\begin{align}x&+y=9&①\\90x&+120y=930&②\end{align}\end{cases}$
①より$x=9-y$ ①´
①´を②に代入
$\begin{align}90(9-y)+120y&=930\\810-90y+120y&=930\\30y&=120\\y&=4\end{align}$
$y=4$を①に代入
$\begin{align}x+4&=9\\x&=5\end{align}$
よってアイス$5$個、シュークリーム$4$個買った。

解説
求めるものがアイスの個数とシュークリームの個数なので、そのまま求めるものを$x$、$y$としました。
このように、求めるものをそのまま文字にして考えるのがコツ。
求めるものが$x$と$y$の2つがあるので、それに伴い方程式も2つ作る必要があります。
そこで問題文に個数の関係と代金の関係があったので、それぞれ関係式を作りました。
方程式を作れば後は計算するだけです。

もっともこの例題、中1の内容でもあります。つまり連立方程式にしなくても解けます。
このページは連立方程式の文章題の練習なので連立方程式を作りましたが、特に問題に指示がなければどの解き方をしても良いです。

なお個数を求めるので、解が小数や分数、負の数となったら、どこか間違えています。
もし負の数が解になったら、たぶん買って帰る途中で食べちゃったか何かしたんでしょう。

こちらは中1の方程式の文章題です。合わせて確認しておきましょう。

連立方程式の文章問題 速さと時間の関係

速さと時間の関係の文章問題も定期テストなどではよく出題されます。
慣れないうちは何を$x$、$y$として方程式を作れば良いか迷うと思います。
迷ったときは簡単なイラストを描いて考えていくと、解き方のコツが見えてきます。

基本例題2
よしお君の家から学校までの距離は $1500$m ある。よしお君は$7$時に家を出発し、はじめは毎分$60$m の速さで歩いていたが、途中で大好きなよしこさんを見かけたので毎分$210$m の速さで追いかけた。そしたら追いつくことなくよしお君は$7$時$15$分に学校に着いてしまった。
よしお君の歩いた距離と走った距離をそれぞれ求めよ。

考え方
求めるもの:「歩いた距離」と「走った距離
歩いた距離を$x$、走った距離を$y$とする。
速さは問題文に書いてある。
時間は$15$分かかったことしか書いてないが、$x$と$y$を使うことで、歩いた時間走った時間を表すことができる。
距離に関する式と時間に関する式を作り連立方程式として解く。
なお、よしこさんをどの位置で見かけたのかについては考える必要がない。

解答
歩いた距離を$x$、走った距離を$y$とすると、
家から学校までが$1500$mなので、
$x+y=1500$・・・①
$x$mの距離を毎分$60$mで歩いたので、その時間は$\dfrac{x}{60}$
$y$mの距離を毎分$210$mで走ったので、その時間は$\dfrac{y}{210}$
これらの和が$15$分なので、
$\dfrac{x}{60}+\dfrac{y}{210}=15$・・・②
①②を連立方程式として解く。
$\begin{cases}\begin{align}x+y=1500&&①\\\dfrac{x}{60}+\dfrac{y}{210}=15&&②\end{align}\end{cases}$

②$\times420$より

$420\times\dfrac{x}{60}+420\times\dfrac{y}{210}=15\times420$

$7x+2y=6300$ ②´

①より$y=-x+1500$ ①´

①´を②´に代入

$7x+2(-x+1500)=6300$

←式を代入するから必ず(かっこ)をつける

$\begin{align}7x-2x+3000&=6300\\5x&=3300\\x&=660\end{align}$

$x=660$を①に代入

$\begin{align}660+y&=1500\\y&=840\end{align}$

歩いた距離$660$m、走った距離$840$m

解説
方程式を作るのに$x+y=1500$はすぐにわかると思います。
問題は時間をどのように表すか?
時間の直接の手がかりは「15分」としかありませんが、歩いた距離と走った距離をそれぞれ$x$、$y$としたことで文字を使ってその時間を表せます。
そしてこの問題の最大のポイントがここ。
もちろん道のり、速さ、時間の関係式を使います。
方程式の文章題に慣れないうちは、分数が出てくると、まして文字を含む形になると、どこか間違ってるんじゃないかぁ?と不安になるものです。でも速さの問題ではたいてい分数の形になります。
問題文に「距離(道のり)」「速さ」「時間」のうち1つでも出てきたら、道のり、速さ、時間の関係式を使うと思ってください。
なお距離を求めるので、解が負の数になった時はどこか間違えていると思ってください。
$-840$m走ったとなると大好きなよしこさんからどんどん遠ざかっていくことになり、ちょっとよしお君のことが心配になります。

次に速さと時間に関する代表的な問題をもう一問紹介します。

基本例題3
周囲が$3600$m の池がある。この池をよしお君は走って、よしこさんは徒歩でまわる。同じ地点を同時に出発し、互いに反対方向にまわると$12$分後に出会い、同じ方向にまわるとよしお君はよしこさんに$20$分後に追いつく。よしお君とよしこさんそれぞれの移動する速さは毎分何mか。

考え方
求めるもの よしお君の速さ:$x$ よしこさんの速さ:$y$
時間に関する手がかりは問題に書いてある。
速さについて$x$と$y$を使うことで、文字を使った形で二人が進んだ距離を表すことができる。よって、
①反対方向にまわるとき
②同じ方向にまわるときに分けて、
移動した距離の関係を考える。
反対方向にまわるときは、二人が歩いた距離の和が池の周囲と同じになる。
同じ方向にまわるときは、どちらの速さが速いかに注意する。
本問では「よしお君はよしこさんに$20$分後に追いつく」とあるので、よしお君の方が速いといえる。そして移動した時間は同じなので、よしお君の方が池の周囲の分だけ長い距離を移動したといえる。
このことより、距離に関する方程式を$2$本考えると式を作りやすい。

解答
よしお君の走る速さを$x$、よしこさんの歩く速さを$y$とする。
お互い反対方向にまわると$12$分後に出会うので、

$12x+12y=3600$ より両辺$12$で割り
$x+y=300$ ①

←よしお君の移動距離+よしこさんの移動距離=$3600$

同じ方向にまわると、よしお君がよしこさんよりも池の周囲$1$周分だけ多く移動したときに追いつくことになる。$20$分で追いつくので、

よしお君の移動距離は
$20x$
よしこさんの移動距離は
$20y$
よしお君の移動距離はよしこさんよりも$3600$m多いので
$20x=20y+3600$
両辺$20$で割って移項すると
$x-y=180$ ②

①②を連立方程式として解くと
$\begin{cases}\begin{align}x+y&=300&①\\x-y&=180&②\end{align}\end{cases}$

②より
$x=180+y$ ②´
②´を①へ代入
$\begin{align}180+y+y&=300\\2y&=120\\y&=60\end{align}$
$y=60$を②´へ代入
$x=240$
これより二人の移動する速さはそれぞれ
よしお君 :毎分$240$m
よしこさん:毎分$60$m

解説
問題文は$3600$mを基準にして、「出会う」「追いつく」など「移動に関すること」が中心に書かれています。そのため距離に関する方程式を立てていくと考えやすくなります。
時間に関する方程式や速さに関する方程式を作ろうとすると収拾がつかなくなります。

なお、速さを求めるので$x$、$y$とも負の数となると、どこかで間違っていると思いましょう。
よしお君の速さが負の値だとしたら、せっかくよしこさんをデートに誘ったのによしこさんを放置しておくことになります。

間違ってます。

連立方程式の文章問題 濃度の違う食塩水を混ぜる

次に濃度の違う食塩水を混ぜる問題を解説します。百分率や割合を理解していないと解けないので、忘れている人はこちらのページも参考にしながら進めてください。

基本例題4
$7$%の食塩水と$12$%の食塩水を混ぜて、$8$%の食塩水を$1000$gつくる。
食塩水をそれぞれ何g混ぜれば良いか。

考え方
求めるもの $7$%の食塩水の量:$x$ $12$%の食塩水の量:$y$
問題文に食塩水とあったら、食塩水の量、水の量、食塩の量がどれ位なのかを考える。

濃度(%)$=\dfrac{食塩の量}{食塩水の量}\times100$

濃度の問題ではこれらのことを反射的に思い浮かべることが解法のコツ。
本問では濃度はわかっている。
食塩水の混ぜる量を文字$x$、$y$とした。
これより食塩の量を表していく。

●$7$%の食塩水について
$x$gに含まれる食塩の量は
$7=\dfrac{食塩の量}{x}\times100$ から $0.07x$g

●$12$%の食塩水について
$y$gに含まれる食塩の量は
$12=\dfrac{食塩の量}{y}\times100$ から $0.12y$g

これらを混ぜて$8$%の食塩水を$1000$gつくる。
すると、混ぜたときの食塩の量は・・・?
ここまで書くとほぼ解答なので、しばらく考えてから解答を読みましょう。

解答
$7$%の食塩水の混ぜる量を$x$g、$12$%の食塩水の混ぜる量を$y$gとする。
これらを混ぜて$1000$gとするので、
$x+y=1000$ ①

$7$%の食塩水に含まれる食塩の量は$0.07x$
$12$%の食塩水に含まれる食塩の量は$0.12y$
すると$8$%の食塩水$1000$g中の食塩の量は
$0.07x+0.12y=\dfrac{8}{100}\times1000$ ②

これらを連立方程式として解くと
$\begin{cases}\begin{align}x+y&=1000&①\\ 0.07x+0.12y&=\dfrac{8}{100}\times1000&②\end{align}\end{cases}$
①より$x=1000-y$ ①´
②より$7x+12y=8000$ ②´
①´を②´に代入
$\begin{align}7(1000-y)+12y&=8000\\7000-7y+12y&=8000\\5y&=1000\\y&=200\end{align}$
$y=200$を①に代入
$\begin{align}x+200&=1000\\x&=800\end{align}$

よって$7$%の食塩水を$800$g、$12$%の食塩水を$200$g混ぜる

解説
数量関係の等しいものを=で結ぶために、食塩水の量食塩の量に着目しました。

当然混ぜる前と混ぜた後で量そのものが変わることはありません。
濃度の違う食塩水を混ぜる問題で難しく感じてしまうところがまさにここ。
混ぜる前の食塩の量が$7$%と$12$%の食塩水にそれぞれどれだけあるのかを求め、その合計が混ぜた後の食塩の量と同じになります。
もし混ぜた後で食塩水の量が減ったとなったら、こぼしてしまったか飲んでしまったかのどちらかです(というか、そんなことを考えていたら数学の問題にならない)。

ということで解き方の流れをまとめると


①食塩水の量の関係を式にする

②$7$%と$12$%の食塩水の食塩の量を求める

③$8$%の食塩水の食塩の量を求める

④食塩の量の関係を②と③から式にする

⑤連立方程式にして解く

となります。
食塩の量に変わりはないと頭の中ではわかっていても、方程式を立てる時になるとつい忘れがちになります。