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偶数と偶数の和は偶数になることの説明

奇数+奇数=偶数 になる
偶数+偶数=偶数 になるなど、
式の計算を利用した説明問題を苦手とする人は意外と多いものです。
説明のしかたには流れがあるので、まずはその流れを覚えてしまいましょう。

整数の説明問題を解くにあたって、前提となる知識を紹介したこちらページも合わせて確認してください。こちらは理屈を中心に解説しています。

偶数+偶数=偶数 の説明

基本例題1
異なる2つの偶数の和は偶数になる。このわけを説明せよ。

考え方
説明の流れは
①2つの偶数を文字で表す
②偶数+偶数を計算
③$2\times$(整数)の形を作る
④締めの一言
の手順で進めます。

例えば$2+4$は$6$で確かに偶数になります。
$4+8$は$12$でやはり偶数です。
$152+30$は$182$でこれも偶数。
確かに偶数+偶数は偶数になりそうです。

でも具体的な数値で示しても、それはその数値のときだけを示したに過ぎません。
どんな偶数のときにも成り立つことを示すためには文字を使って示す必要があります。

$n$を整数とすると、偶数は$2n$と表せます。(なぜそう表すのかは冒頭で紹介したページを参考に)
そこで文字を使って偶数+偶数の計算を進めます。
その計算の結果、偶数の形ができれば説明終了です。
偶数の形を示すには 『$2\times$(整数)』 の形を作ります。
なお、自分で勝手に文字を使う時は、必ずその文字について一言説明をします。

それでは解答を示しながら解説していきます。

解答

$m$と$n$を整数とすると
2つの偶数は$2m$と$2n$とおける。

2つの偶数を示すために、文字を2種類使う文字の説明も忘れずに。

これより2つの偶数の和は
$2m+2n$

←実際に計算する

$=2(m+n)$

←$2\times$(整数)の形

$m$と$n$は整数なので、$(m+n)$は整数である。

←この一言が超重要!! 

よって、$2(m+n)$は偶数となる。

したがって2つの偶数の和は偶数になる。

←締めの一言を忘れずに

解説
説明の流れの手順①~④に沿っていることを確認してください。
単純に2つの偶数といわれたら、違う偶数を意味していると考えます。
そのため、必ず別の文字を使います。
もし同じ文字を使って2つの偶数を表したら、$2+2$や$16+16$のように2つの同じ偶数の足し算だけを説明したことになってしまいます。これでは説明不十分です。
どんな偶数どうしの和でも成り立つことを説明するには、必ず別の文字を使います。

$m$と$n$は整数と初めに一言加えました。
すると($m+n$)は(整数+整数)なので整数ですよね。
そのため$2(m+n)$ は $2\times$(整数)なので偶数といえるわけです。

ここまで解説を長々と書きましたが、この基本例題は整数の説明問題の最も初歩的なものなので、問題と説明の流れをそのまま覚えてしまいましょう。
これをもとにもう少しヒネリのある説明問題を練習していきます。

奇数+偶数=奇数 の説明

基本例題2
奇数と偶数の和は奇数になることを説明せよ。

考え方
説明の流れは
①奇数と偶数を文字で表す
②奇数+偶数を計算
③$2\times$(整数)$+1$の形を作る
④締めの一言
の手順で進めます。

$m$と$n$を整数とすると、
奇数は$2m+1$
偶数は$2n$ とおけます。(なぜそう表すのかは冒頭で紹介したページを参考に)
ここでも文字を$m$と$n$で2種類使います。
実際に解答を示しながら解説していきます。

解答
$m$と$n$を整数とすると、
奇数は$2m+1$
偶数は$2n$ とおける。

これより奇数と偶数の和は
$(2m+1)+2n$

$=2m+2n+1$

←この形から奇数の形をつくれないか考える。

$=2(m+n)+1$

←$(m+n)$を作ったことに意味がある。

$m$と$n$は整数なので、$(m+n)$も整数である。

←この一言が超重要!!

よって$2(m+n)+1$は奇数となる。

したがって奇数と偶数の和は奇数となる。

←締めの一言を忘れずに

解説
この例題でも$m$と$n$で2つの文字を使いました。
もし同じ文字を使って奇数と偶数を表すとしたら$2m+1$と$2m$です。

同じ文字には同じ数値をあてはめて考えるので、
もし$m=1$だとしたら$3$と$2$、
$m=5$だとしたら$11$と$10$、
$m=50$だとしたら$101$と$100$を考えたことになります。

つまり1つ違いの奇数と偶数のときだけを説明したことになります。
これでは説明不十分。
そのため違う文字を使って説明を進めていくわけです。

ところで基本例題1と2では異なる文字を使って説明することを強調しました。
でも問題によっては同じ文字を使って整数を表さないと説明にならない場合もあります。
次に同じ文字を使って説明するパターンの問題を見ていきます。

連続する3つの整数の和

基本例題3
連続する3つの整数の和は3の倍数になることを説明せよ。

考え方
説明の流れは
①連続する3つの整数を文字で表す
②3つの整数の和を計算
③3の倍数なので$3\times$(整数)の形を作る
④締めの一言
の手順で進めます。

ここで重要なのが連続するというところ。
連続する3つの整数とは、
$1,2,3$や$16,17,18$や$105,106,107$などのように、
1つずつ大きさが変わっていく整数の並びのことをいいます。

ここで真ん中の数を基準にしてみると、左側は1小さい、右側は1大きいですよね。
この関係を整数$n$で表すと
$(n-1),n,(n+1)$とおけます。
基準より1小さい1大きいことを示すので、基準と同じ文字を使います。

もし違う文字を使って
$a-1,b,c+1$としてしまうと、違う文字には違う数値をあてはめて考えるので、連続した並びを示せなくなってしまいます。

ということで、「連続する」との文言があるときは「同じ文字」を使って整数を表します。

解答

連続する3つの整数のうち真ん中のものを$n$とすると
$(n-1),n,(n+1)$とおける。

←使う文字について必ず一言説明する

これらの和は
$(n-1)+n+(n+1)$

$=n-1+n+n+1$

$=3n$

$n$は整数なので$3n$は3の倍数である。

←この一言が超重要!!

よって連続する3つの整数の和は3の倍数となる。

←締めの一言を忘れずに

解説
解答では真ん中の整数を$n$としましたが、一番小さいものを$n$としてもかまいません。
その場合、連続する3つの整数は
$n,(n+1),(n+2)$となります。
この和は$3n+3$で、ここから3の倍数を示すために式変形をすると
$3(n+1)$
$(n+1)$は整数なので$3(n+1)$は3の倍数といえます。

もちろん一番大きいものを$n$としてもかまいません。その場合は
$(n-2),(n-1),n$となります。
この和は$3n-3$で、式変形すると
$3(n-1)$
$(n-1)$は整数なので$3(n-1)$は3の倍数といえます。

式の見た目こそ違いますが、内容は同じことを示しています。

2桁の自然数 入れ替えたときの和

基本例題4 
2桁の自然数とその10の位と1の位を入れ替えた数の和は11の倍数となることを説明せよ。

考え方 
説明の流れは
①元の2桁の自然数と入れ替えた自然数を文字で表す
②2つの自然数の和を計算
③11の倍数なので$11\times$(整数)の形を作る
④締めの一言
の手順で進めます。

10の位の数を$a$、1の位の数を$b$とすると、2桁の自然数は$10a+b$とおけます。
桁数の条件がある整数を文字で表すときは、それぞれの位を文字で表すとうまくいきます。

解答

もとの2桁の自然数は、10の位の数を$a$、1の位の数を$b$とすると$10a+b$とおける。

←使う文字について必ず一言説明する

また、10の位の数と1の位の数を入れ替えた自然数は$10b+a$となる。
これより和は

$(10a+b)+(10b+a)$

$=11a+11b$

$=11(a+b)$

$a$と$b$は整数なので、$(a+b)$は整数となる。

←この一言が超重要!!

よって$11(a+b)$は11の倍数である。

したがって、2桁の自然数とその10の位と1の位を入れ替えた数の和は11の倍数となる。

←締めの一言を忘れずに

解説 
「2桁の自然数を$n$」というように1つの文字で表すと、この例題では説明が進まなくなります。
そのため桁の数値に手がかりがあったので、10の位と1の位とで分けて文字を使って表しました。
2桁の自然数を$10a+b$とおく方法はよく使うので覚えておきましょう。
なお10の位と1の位を同じ文字で表してしまうと、10の位と1の位が同じ数のときだけを説明したことになってしまうので説明不十分です。

特に問題文に条件が無ければ違う文字を使います。
参考までに、$a,b,c$をそれぞれ整数とすると3桁の整数は$100a+10b+c$とおけます。
桁数が分かっている時はこのようにして整数を表すと良いでしょう。

ところでこのページで紹介した4つの例題とも、倍数の形『●×(整数)』を作るために、分配法則の逆の操作をやっています。この操作にも慣れておきましょう。

まとめ

冒頭にも書いたように、説明問題には説明の流れがあります。
その流れをおさえておきましょう。

  1. 文字を使って整数を表す。このとき使う文字について一言説明する。
  2. 問題に沿って計算する。
  3. 計算結果を変形し、倍数の形や奇数・偶数の形をつくる。
  4. 締めの一言

締めの一言を示すときに、必ず添えておくべき言葉があります。
それが解答の赤字で補足説明したところ。
自分でおいた文字が計算によって、ほんの少し変わった形になります。
自分でおいた文字がほんの少し変わっても、それが「整数である」ことをしっかり示しておく必要があります。

  • 自分でおいた文字は必ず説明する
  • 計算で形が変わっても文字の所が整数であることを一言加える