中学3年間を通して最も重要となる計算。それが二次方程式です。
ここでは二次方程式の解き方の基本となる考え方を詳しく解説します。
単に計算方法を知るだけでなく、理屈立てて解き方を身につけるようにしてください。
二次方程式の基本形
基本例題1
次の二次方程式を解け。
$\begin{align}&(1)\:x^2=16&(2)&\:x^2-25=0\\&(3)\:3x^2=12&(4)&\:5x^2-25=0\end{align}$
解答
$\begin{align}(1)\:x^2&=16\\\\x\:&=\pm4\end{align}$
平方根の所で学んだ「2乗すると16になる数」を求めるものです。全ての二次方程式の解き方はこれが基本になります。
$\begin{align}(2)\:x^2-25&=0\\\\x^2&=25\\\\x\:&=\pm5\end{align}$
$(2)$は$(1)$とほぼ同じで、$x^2=$〇の形にすればすぐにわかりますね。$x^2=$〇の形を作るのが二次方程式の解き方の基本中の基本と覚えておきましょう。
$\begin{align}(3)\:3x^2&=12\\\\x^2&=4\\\\x\:&=\pm2\end{align}$
$x^2$に係数があるときはその係数で両辺を割って考えます。すると基本の形ができますね。
$\begin{align}(4)\: 5x^2-25&=0\\\\5x^2&=25\\\\x^2&=5\\\\x\:&=\pm\sqrt5\end{align}$
$(1)$~$(3)$の解き方を使った問題です。$x^2=$〇の形にしていることに気づきましょう。
ここまでは二次方程式の超基本です。
ただ二次式は$x^2=$〇の形だけでなく様々な形があります。つぎに少し複雑な形になった二次方程式の解き方を解説します。
$(x+〇)^2=■$の形の二次方程式
基本例題2
$(x-2)^2=16$ を解け。
解答
$x-2=X$とすると
$\begin{align}X^2&=16\\\\X&=\pm4\\\\(x-2)&=\pm4\end{align}$
$x-2=+4\:$のとき$\:x=6$
$x-2=-4\:$のとき$\:x=-2$
解説
$x-2=X$と置き換えることで$X^2=$〇の形ができます。
ただ置き換えなくてもわかる場合は置き換えずに計算しましょう。
なお$X$に置き換えたら必ずもとの形$(x-2)$に戻します。
すると
$x-2=+4$のときと
$x-2=-4$のときの2通りで
それぞれ$x$の値を求めます。
ところでもう気づいたかもしれませんが、二次方程式の解はふつう2つあります。
ここまで紹介した問題は全て2つ解があることを確認してください。
なお答え方はもっと簡単に
$x=-2,6$としてかまいません。
類題で練習しましょう。
類題1
次の二次方程式を解け。
$\begin{align}&(1)\:(x+2)^2-81=0&(2)&\:(x-5)^2=7\\&(3)\:(x+5)^2=20&(4)&\:(2x-3)^2=6\end{align}$
解答はこのページの下段にあります。
二次方程式として単純に$x^2=$〇の形のものや、置き換えることで結果的に$x^2=$〇の形ができるタイプのものを紹介しました。
ただ残念ながら、全ての二次方程式が都合よくこのようになっているわけではありません。
次に少しレベルアップした二次方程式を解けるようにします。
因数分解で$(x+〇)^2=■$の形を作って解く二次方程式
基本例題3
次の二次方程式を解け。
$(1)\:x^2+10x+25=3\quad(2)\:x^2-14x+49=10$
考え方
式は$ax^2+bx+c=d$の形になっています。
二次方程式は$x^2=$〇の形を作らないと解けないので、とにかく$x^2=$〇の形を作ります。
ではどうすれば良いか?
とここで、左辺をよく見ると$(x+a)^2$の形に因数分解できます。
因数分解したら$X^2=$〇の形ができます。
解答
$\begin{align}(1)\:x^2+10&x+25=3\\\\(x+5)^2&=3\\\\x+5&=\pm\sqrt3\\\\x&=-5\pm\sqrt3\end{align}$
$\begin{align}(2)\:x^2-14x&+49=10\\\\(x-7)^2&=10\\\\x-7&=\pm\sqrt{10}\\\\x&=7\pm\sqrt{10}\end{align}$
解説
二次方程式を解く上での大前提は$x^2=$〇の形を作ることです。
この形を作るために因数分解をしました。
もう少し正確に書くと、
因数分解すると$(x+〇)^2=■$の形が偶然できました。
もうわかると思いますが、全ての二次式が必ず$(x+〇)^2=■$の形に因数分解できるわけではないですよね。
なのでこの形に因数分解できないときは、また別の方法で解かなければなりません。
ただ二次方程式を解く際、因数分解はとてもよく使います。
二次方程式と因数分解は半ばセットとして覚えておきましょう。

二次方程式の解き方の基本は
$(x+〇)^2=■$の形 を作る。
このとき因数分解を使うこともある
ということで解き方のパターンを身につけるために類題にチャレンジしましょう。
類題2
次の二次方程式を解け。
$\begin{align}&(1)\:x^2+6x+9=16&(2)\:x^2-12x+36=6\\&(3)\:x^2-8x+16=25&(4)\:x^2+14x+49=5\end{align}$
解答はこのページの下段にあります。
ここまで扱った二次方程式は全て、$X^2=$〇の形を作るものでした。
ただ全ての二次方程式が$X^2=$〇の形を簡単に作れるわけではありません。
次に$X^2=$〇の形は作らずに、別の方法で解く二次方程式の解き方を解説します。
そこで使うのが因数分解です。
因数分解で$(x+a)(x+b)=0$の形を作って解く二次方程式
因数分解して解く二次方程式は上記で紹介しましたが、ここで使うのは$(x+a)(x+b)=0$の形にする因数分解です。
右辺を$0$とするところがポイント。
$X^2=$〇の形ができないときは
$(x+a)(x+b)=0$の形ができないかを考えます。
ではなぜ
$(x+a)(x+b)=0$ の形なのか?
$A\times B=0$を満たす$A$と$B$の値
$A\times B=0$とあったとき、この関係を満たす$A$と$B$の値を考えます。
かけ算では1つでも$0$があったらその積は$0$ですよね。
ということは、
$A$がいくつであっても$B=0$ならば$A\times B=0$です。
逆に
$B$がいくつであっても$A=0$ならば$A\times B=0$です。
もちろん
$A=B=0$ならば$A\times B=0$です。
この考え方を使って二次方程式を解いていきます。
例題で考えましょう。
基本例題4
次の二次方程式を解け。
$(1)\:(x-2)(x+3)=0\quad(2)\:x^2-7x+12=0$
解答
$\begin{align}(1)&\:(x-2)(x+3)=0\\\\&x=-3\:,2\end{align}$
$(x-2)=0$と
$(x+3)=0$を満たす
$x$の値を求める
$\begin{align}(2)\:x^2-7x+12&=0\\\\(x-3)(x-4)&=0\\\\x=3\:,4\quad\quad\end{align}$
左辺は因数分解できる
$(x-3)=0$と
$(x-4)=0$を満たす
$x$の値を求める
補足
$(2)$の二次方程式を解くには因数分解をします。
ならば因数分解できることに気づけなかったら解けないかというと、そうでもありません。
因数分解しなくても解けますが、かなり面倒な方法を使うことになります。
その面倒な方法とは平方完成というものですが、それについては別ページで説明します。
二次方程式の解き方の基本は
$X^2=$〇の形をつくり
それができないときは
因数分解して$(x+a)(x+b)=0$の形を作る
と覚えておきましょう。
類題を解きたくなってきたと思います。解きましょう。
類題3
次の二次方程式を解け。
$\begin{align}&(1)\:(x+9)(x-2)=0&(2)&\:x^2+6x-27=0&\\\\&(3)\:x^2=9x&(4)&\:x^2+7x=-6\end{align}$
解答はこのページの下段にあります。
重要なので繰り返しますが、二次方程式の基本となる解き方は
$X^2=$〇の形をつくり
それができないときは
因数分解して$(x+a)(x+b)=0$の形を作る
の手順です。
この手順をしっかり覚えておきましょう。
ただ、$X^2=$〇の形ができず、$(x+a)(x+b)=0$の形も作れない二次方程式もあります。
そのようなときは平方完成という方法を使って解くことになります。
平方完成については別ページで詳しく解説します。
類題1 解答
$\begin{align}(1)\:(x+2)^2-81&=0\\\\(x+2)^2&=81\\\\x+2\;&=\pm9\end{align}$
$\quad x=+9-2=7$
$\quad x=-9-2=-11$
ここでは置き換えずに解答しています。
$x+2\;=\pm9$まで進めたら
直接$x=-11,7$と解答してかまいません。
$\begin{align}(2)\:(x-5)^2&=7\\\\x-5&=\pm\sqrt7\\\\x&=5\pm\sqrt7\end{align}$
解は
$5+\sqrt7$と$5-\sqrt7$の2つ
まとめて$5\pm\sqrt7$と書きます
$\begin{align}(3)\:(x+5)^2&=20\\\\x+5&=\sqrt{20}\\\\x+5&=\pm2\sqrt5\\\\x&=-5\pm2\sqrt5\end{align}$
$\sqrt{20}$の変形を忘れずに。
$\begin{align}(4)\:(2x-3)^2&=6\\\\2x-3&=\pm\sqrt6\\\\2x&=3\pm\sqrt6\\\\x&=\dfrac{3\pm\sqrt6}{2}\end{align}$
$3\pm\sqrt6$を$x$の係数$2$で割るから
$3\pm\sqrt6$をひとまとまりと見て
$\dfrac{3\pm\sqrt6}{2}$とする。
$(4)$補足
解答としては
$x=\dfrac{3}{2}-\dfrac{\sqrt6}{2}\;$,$\;\dfrac{3}{2}+\dfrac{\sqrt6}{2}$と書いても
$x=\dfrac{3-\sqrt6}{2}\;$,$\:\dfrac{3+\sqrt6}{2}$と書いても正解です。
ただ$x=\dfrac{3\pm\sqrt6}{2}$とした方が解答としては見やすいと思います。
複雑な形ゆえ解答が間違えているように思えてしまいますが、二次方程式の解はこのような形をしているものも多いです。
類題2 解答
$\begin{align}(1)\: x^2+6x+9&=16\\\\(x+3)^2&=16\\\\x+3&=\pm4\\\\x&=-3\pm4\\\\x=-7,1\end{align}$
左辺が$(x+a)^2$の形に因数分解できることに気づけるように。
$\begin{align}(2)\: x^2-12x+36&=6\\\\(x-6)^2&=6\\\\x-6&=\pm\sqrt6\\\\x=6\pm\sqrt6\end{align}$
$\begin{align}(3)\:x^2-8x+16&=25\\\\(x-4)^2&=25\\\\x-4&=\pm5\\\\x&=4\pm5\\\\x=-1,9\end{align}$
$\begin{align}(4)\:x^2+14x+49&=5\\\\(x+7)^2&=5\\\\x+7&=\pm\sqrt5\\\\x=-7\:\pm&\:\sqrt5\end{align}$
類題3 解答
$\begin{align}(1)&\:(x+9)(x-2)=0\\\\&x=-9\:,2\end{align}$
$(x+9)=0$と
$(x-2)=0$を満たす
$x$の値を求める
$\begin{align}(2)&\:x^2+6x-27=0\\\\&(x-3)(x+9)=0\\\\&x=-9\:,3\end{align}$
因数分解できるかどうかを必ず確認すること
$\begin{align}(3)&\:x^2=9x\\\\&x^2-9x=0\\\\&x(x-9)=0\\\\&x=0\:,9\end{align}$
初めに右辺$=0$となるように変形する
その後因数分解できるかどうかを確認する
$\begin{align}(4)&\:x^2+7x=-6\\\\&x^2+7x+6=0\\\\&(x+6)(x+1)=0\\\\&x=-6\:,-1\end{align}$
初めに右辺$=0$となるように変形する
その後因数分解できるかどうかを確認する