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平方完成は二次の項の係数に注意

平方完成とは

平方完成とはざっくりいうと
因数分解できない二次式について、強引に$X^2=0$の形を作り出す方法のことです。

$X^2=$〇の形や$(x+a)(x+b)=0$の形を作れない。
ならば強引に$X^2=$〇の形を作り出して解いてしまえ!!
という考え方です。

強引に作り出す。
つまりちょっとしたテクニックが必要になります。
ということで次の基本例題で平方完成の基礎を身につけましょう。

平方完成は、二次方程式を解くときに使ったり高校で学ぶ二次関数を考えるときに使う、数学の問題を解くための道具みたいなもの。
そのため「平方完成は日常生活のいつ使うんだ!!」といっても、日常での使い道はありません。

平方完成を使った二次方程式の解き方

それでは平方完成を使った二次方程式の解法を見ていきます。
なお、基本例題は因数分解できるので平方完成しなくても解は求まります。
ただ、平方完成の基礎を理解してほしいのと同時に、二次方程式は複数の方法で解けることを知ってほしいので、あえて基本例題としました。

基本例題1
二次方程式$\:x^2+2x-8=0$を平方完成して解け。

考え方
「平方完成せよ」とあったら、左辺を文字の2乗、あるいは式の2乗の形に変形します。
結論を先に書くと

の形が平方完成したもの。
そこから$\:x=-4,2\:$が解として求まります。
$X^2=9$の形をしている所に注目。
展開して整理すると問題の式と一致することも確認してください。

平方完成は、

$\:x^2+2ax+a^2=(x+a)^2\:$

の関係に当てはめるようにして進めます。

特に$x$の項の係数$2a$がポイント

因数分解する際、$x$の係数$2a$を$\dfrac{1}{2}$、つまり$a$にして(かっこ)の中に入れています。
この方法を利用して平方完成します。

解答

$x^2+2x-8=0$

$(x^2+2x)-8=0$

$(x^2+2x+1)-1-8=0$

$(x+1)^2-9=0$

$(x+1)^2=9$

$x+1=\pm3$

$x=-4,\:2$

平方完成は
$x$の係数の$\dfrac{1}{2}$の2乗を足して引く

じっくり解説

$x^2+2x$$-8\quad\quad\;$の$\quad\;$$x^2+2x$部分を
$x^2+2ax+a^2\quad$の$\quad x^2+2ax$に見立て変形します。

$x^2+2x$に$x$の係数の半分の2乗、つまり$+1$があれば
$x^2+2x+1$となり、因数分解で$(x+1)^2$とできます。

ということで$(x+1)^2$を強引に作るために左辺に$+1$します。
ただそれだけでは元の式の大小関係が崩れてしまうので、同時に$-1$します。

$(x^2+2x$$+1$$)$$-1$$-8=0$

すると$x^2+2x+1=(x+1)^2$と因数分解でき$X^2$の形ができました。
あとは$-1-8$をまとめて
$(x+1)^2-9=0$ となり完成です。
この形ができれば二次方程式として$x$の値も求まりますね。

類題で平方完成を練習しましょう。

類題1
次の式を平方完成せよ。
$(1)\:x^2+6x+3\quad(2)\:x^2-8x+10$

解答はこのページの下段にあります。

二次の項に係数があるときの平方完成

二次の項に係数があると平方完成のレベルが少し上がります。
特に係数が負の数の場合、平方完成に慣れないうちは混乱する人も多いようです。
例題で確認しましょう。

基本例題2
次の式を平方完成せよ。
$\:(1)\:3x^2+12x+8\quad(2)\:-5x^2+10x+3$

考え方
平方完成するときに手をつけたいのは二次の項と一次の項です。
そこで二次の項の係数にはちょっとどいてもらう必要があります。
そのために、二次の項の係数で二次と一次の項を(かっこ)でくくります。

解答

$(1)\quad3x^2+12x+8$

$\quad\:=3(x^2+4x)+8$

$\quad\:=3(x^2+4x+4-4)+8$

$\quad\:=3\{(x^2+4x+4)-4\}+8$

$\quad\:=3(x+2)^2-12+8$

$\quad\:=3(x+2)^2-4$

$(2)\quad -5x^2+10x+3$

$\quad\:=-5(x^2-2x)+3$

$\quad\:=-5(x^2-2x+1-1)+3$

$\quad\:=-5\{(x^2-2x+1)-1\}+3$

$\quad\:=-5(x-1)^2+5+3$

$\quad\:=-5(x-1)^2+8$

解説

二次の項に係数があるときは、二次と一次の項を(かっこ)でくくり変形していきます。
その際かっこを二重につけることになります。
そこで {かっこ} と (かっこ) を使い分けます。
ただかっこは必要最低限だけにして解答、つまりなるべく( )だけにとどめておきたい。
ということで{かっこ}を外した形にして解答します。
{かっこ}を外す際の分配法則に注意!!

類題1 解答
$\begin{align}(1)&\quad x^2+6x+3\\\\&=(x^2+6x+9)-9+3\\\\&=(x+3)^2-6\end{align}$


$\begin{align}(2)&\quad x^2-8x+10\\\\&=(x^2-8x+16)-16+10\\\\&=(x-4)^2-6\end{align}$