ここでは1つレベルを上げた内容で、分数タイプの文字式の加法・減法を解説します。
分子が式の形となると途端に難易度が上がったように感じますが、注意点は2つ。
符号の扱い方と分配法則
ここを特に意識して計算を進めましょう。
分配法則とは何!?
という人は右ページでまず復習!!
分子が式になっている分数の加法・減法
●加法の計算●
例題
$\dfrac{4x-3}{2}+\dfrac{4x+5}{6}$ を計算せよ。
考え方
①分数の足し算だから通分して計算する。
②この問題では分母を6にそろえると計算しやすそう。
考え方はわずかこの2点です。小学校で学んだ分数の足し算と何ら変わりない考え方ですよね。
ただ、ここで難しくさせているのが
「分子の形」と
「通分で発生する分配法則」。
以下の解答を通して解説していきます。
なおここは例題の解説なので、1つ1つかみ砕いて書いていきます。
本来の解答ならもう少しコンパクトに進められます。
解答
$\dfrac{4x-3}{2}+\dfrac{4x+5}{6}$
まず$\dfrac{4x-3}{2}$に着目
分母を6に通分するために分母分子を3倍。
$\dfrac{3}{3}\times$$\dfrac{4x-3}{2}$
$=$$\dfrac{3(4x-3)}{3\times2}$
←分子の$4x-3$はこの形でひとまとまり。ひとまとまりの物は(かっこ)をつける。
$=$$\dfrac{12x-9}{6}$
←自分でつけたかっこは必ずはずす。分配法則に注意!!
$3$を$4x$と$-3$にかける。
よって
$\dfrac{12x-9}{6}$$+$$\dfrac{4x+5}{6}$
←通分が完了
$=$$\dfrac{(12x-9)}{6}$$+$$\dfrac{(4x+5)}{6}$
←それぞれの分子が1まとまりなのでかっこをつける
$=$$\dfrac{(12x-9)+(4x+5)}{6}$
←2つをまとめた形
$=$$\dfrac{12x-9+4x+5}{6}$
←自分でつけたかっこは必ずはずす。$+$だからそのままはずす。
$=$$\dfrac{16x-4}{6}$
←要注意!!
分母の6、分子の16、分子の4は全て2で割れる。分数の加法・減法では全て同じ数で割れる時に約分する。
$=$$\dfrac{8x-2}{3}$ これが答え
この計算の様に、分子が式の形の時は、その長い形がひとまとまりとなっている。
ひとまとまりのものには必ず(かっこ)をつけて考える。
ただし、自分でつけた(かっこ)は必ずはずす。その時に使うのが分配法則。
解説をつけて細かく書いたので解答としてかなり長くなりましたが、実際テストなどで解答する際は、次のようにまとめて書いた方が良いでしょう。
$\dfrac{4x-3}{2}+\dfrac{4x+5}{6}$
$=$$\dfrac{3(4x-3)}{3\times2}+\dfrac{4x+5}{6}$
$=$$\dfrac{12x-9}{6}$$+$$\dfrac{4x+5}{6}$
$=$$\dfrac{12x-9+4x+5}{6}$
$=$$\dfrac{16x-4}{6}$
$=$$\dfrac{8x-2}{3}$
●減法の計算●
例題
$\dfrac{4y+2}{3}-\dfrac{6y-1}{5}$ を計算せよ。
考え方
①分数の引き算だから通分して計算する。
②この問題では分母を15にそろえると計算しやすそう。
解答
$\dfrac{4y+2}{3}-\dfrac{6y-1}{5}$
$=$$\dfrac{5(4y+2)}{5\times3}-\dfrac{3(6y-1)}{3\times5}$
←通分 分子が式でひとまとまりだから(かっこ)をつける。
$=$$\dfrac{20y+10}{15}-\dfrac{18y-3}{15}$
←分配法則で(かっこ)をはずす。
$=$$\dfrac{(20y+10)}{15}-\dfrac{(18y-3)}{15}$
←要・要・要注意!!!
(かっこ)をはずしたものがまた式なので、改めて(かっこ)をつける。
$=$$\dfrac{(20y+10)-(18y-3)}{15}$
←自分でつけた(かっこ)は分配法則ではずす。前の行で(かっこ)をつけないと、ここで計算ミスが生じる。
$=$$\dfrac{20y+10-18y+3}{15}$
←$-(18y-3)$のマイナス符号に注意!!
$=$$\dfrac{2y+13}{15}$
←約分できないのでここで終了。
分子が式となっている際、(かっこ)をつけておかないと減法の時に計算ミスになってしまいます。
なので必ずひとまとまりのものには(かっこ)をつけて考える様にします。