関数のグラフで、その交点の座標は連立方程式の解として求められる
いきなりポイントから入りましたが、まずはそういうこととして覚えてください。
ここでは、なぜ交点の座標が連立方程式の解として求められるのかを解説していきます。
このページは中2数学のページですが、ここで解説する考え方は中3数学やその先、高校数学でも普通に出てくるとても重要度の高い事柄です。もちろん高校入試にも必ず出題されます。
交点とは
数学でいうグラフの交点とは、グラフとグラフが交わる点をいいます。
そして交点の座標といわれたら、グラフとグラフが交わる点の座標ということになります。
例として一次関数$y=2x-1$と$y=-4x-7$について交点の座標を見ていきます。
$y=2x-1$と$y=-4x-7$のグラフはそれぞれ図のようになります。
図からグラフの交点の座標は
$(-1,-3)$
とわかりますね。これ、言い方を変えると
$y=2x-1$のグラフは、点$(-1,-3)$を通るといえます。そして
$y=-4x-7$のグラフも、点$(-1,-3)$を通るといえます。
図を見たら当たり前と思えることですが、
交点の座標は2つのグラフにとって、$x$座標が同じ値で、$y$座標も同じ値になっている
ことをおさえておいてください。
なぜ交点の座標は連立方程式の解といえるのか
ここで連立方程式について簡単に振り返っておきます。
連立方程式の解とは、2つの方程式にとって$x$の値が共通していて、かつ$y$の値も共通しているものでした。
上記の一次関数の式 $y=2x-1$と$y=-4x-7$ を連立方程式として解いてみます。
$\begin{cases}\begin{align}y&=2x-1 ①\\y&=-4x-7 ②\end{align}\end{cases}$
$\begin{align}2x-1&=-4x-7\\6x&=-6\\x&=-1\end{align}$
$x=-1$を①に代入して
$y=2\times(-1)-1$
$y=-3$
よって$x=-1,y=-3$
①と②にとって$x=-1,y=-3$は共通する解ですが、交点の座標$(-1,-3)$と確かに一致していますよね。
2つの方程式の共通する解が、座標平面上で共通する点として表される。
共通する点、つまりグラフが交わる点。
ということで交点を表しているといえるわけです。
交点=連立方程式の解
と反射的に思い浮かべられるようにしておきましょう。
参考までに
中学3年生になると$y=ax^2$のグラフを学びます。
グラフの形は直線ではなくUの字型をしています。
このUの字型のグラフと直線$y=ax+b$のグラフの交点を求める時も連立方程式を使います。
$y=x^2$と$y=2x+1$の交点の座標を求めよ、と問題にあったら、
この2式を連立方程式として解いて、$x$と$y$の値を求めていきます。
詳しいことは中3のページで扱いますが、交点の座標問題の基本的な解き方は共通している、ということだけは覚えておいてください。
ところで、一次関数を利用した問題の1つに、図形の面積を求める問題があります。
このページのまとめとして、その最も初歩的な問題を解いてみましょう。
初歩的だけれども重要な内容です。
解き方の流れを理解してください。
交点の座標を利用した図形の面積を求める問題
基本例題
直線$y=2x+2$の$x$軸上の点をB、
直線$y=-x+5$の$x$軸上の点をCとする。
また$2$つの直線の交点をAとする。
このときのできる三角形ABCの面積を求めよ。
考え方
解き方の流れをまとめると
①A、B、Cの座標を求める
②底辺の長さを求める
③高さを求める
④三角形の面積を求める式を使う
となります。
$三角形の面積=底辺\times高さ\times\dfrac{1}{2}$ の関係を使います。
ここは、底辺をBCとすると考えやすそうです。
すると高さは$x$軸から点Aまでの距離、つまり点Aから$x$軸に下した垂線の長さになります。
では底辺と高さはいくつになるのか?
ここで必要になるのが各点の座標です。
よってまずA、B、Cの座標をそれぞれ求めます。
そして横の長さを求めるときは$x$座標に注目、縦の長さを求めるときは$y$座標に注目します。
ということでBとCの$x$座標から底辺の長さを求め、Aの$y$座標に注目して高さを求めます。
Aは$2$つの直線の交点ですね。連立方程式で交点の座標を求められます。
解答
点Bの座標は$y=2x+2$から
$0=2x+2$
$x=-1$
B$(-1,0)$
←$x$軸上の点だから$y=0$を代入
点Cの座標は$y=-x+5$から
$0=-x+5$
$x=5$
C$(5,0)$
←$x$軸上の点だから$y=0$を代入
点Aは2つの直線の交点なので
$\begin{align}\begin{cases}y=2x+2&①\\y=-x+5&②\end{cases}\end{align}$
←交点の座標を求めるために連立方程式を解く
$\begin{align}2x+2&=-x+5\\2x+x&=5-2\\3x&=3\\x&=1\end{align}$
$x=1$を②に代入
$y=-1+5=4$
A$(1,4)$
←それぞれの座標が分かったので、そこから長さを求める
これより底辺BCの長さは
BC$=5-(-1)=6$
高さはAの$y$座標から$4$となる
←横の長さは$x$座標に注目
縦の長さは$y$座標に注目
よって求める三角形ABCの面積は
$6\times4\times\dfrac{1}{2}=12$
←問題に長さの単位がないので、答えにも単位をつける必要はない