このページでは変域の表し方を既に理解しているものとして、一次関数のグラフと変域の融合問題を解説していきます。
変域を簡単に復習すると、例えば
$-2≦x≦3$とあったら、$x$は$-2$以上$3$以下の範囲で考えるという意味。
$-2<x<3$とあったら、$x$は$-2$より大きく$3$より小さい範囲で考えるという意味です。
この違いをはっきり理解しておいてください。
復習ポイント
≧、≦、>、<、それぞれの意味をしっかり理解しておくことが前提になります。
変域とは何だ!? という人はこちらのページで確認してください。
一次関数の式と変域
一次関数と変域の融合問題は、グラフと関連づけた形で出題されます。
その融合問題を解くための土台作りとして、一次関数の式と変域の表し方の練習から始めます。
基本問題1
一次関数$y=2x-1$において、$x$の変域が$-2≦x≦3$のときの$y$の変域を求めよ。
考え方 & 解説
変域・・・取り得る値の範囲
「$y$の変域を求めよ」といわれたら、
「$y$が取る値の範囲を求めろ」ということです。
問題文を日常使う言葉に翻訳すると
『$y=2x-1$を計算してほしいんだ。で、そのとき条件があって、$x$は$-2$以上$3$以下の範囲で考えてくれ。すると$y$はどの範囲で数値が出てくるかなぁ?』
となります。
よって、
$x$の値が一番小さいときの$y$の値を求め、
$x$の値が一番大きいときの$y$の値も求めれば答えが出る
ということになります。
と言葉だけで説明してもイメージがわかないかもしれないので実際に計算します。
$y=2x-1$に$x=-2$を代入して
$y=2\times(-2)-1=-5$
$y=2x-1$に$x=3$を代入して
$y=2\times3-1=5$
これより$y$の変域は $-5≦y≦5$
←座標平面上では
$(-2,-5)$を示す
←座標平面上では
$(3,5)$を示す
解答は$-5≦y≦5$だけ書けば完了です。
ただ変域に慣れないうちは、いきなり数値だけを見せられてもなかなか理解するのも難しいと思います。
ということでもう少しかみ砕いでじっくり解説していきます。
一次関数の変域を求めるときはグラフを使う
サブタイトルの通り一次関数の変域問題に慣れるまでは、必ずグラフをかいて変域を考えるようにしましょう。
というより、グラフと一緒に変域を求めましょう。
引き続き$y=2x-1$を使って$x$の変域が$-2≦x≦3$のときの$y$の変域を見てみます。
$y=2x-1$のグラフは図の通りです。
いいですか?
グラフを見れば変域は一目瞭然なんですが、ここからじっくり解説していきます。
一次関数は、変化の割合(傾き)が正の数ならば右上がりのグラフになりますよね。
右上がり、つまり$x$の値が大きくなると、それに伴い$y$の値も大きくなることを意味します。
そこでまず、$x$が一番小さいときの$y$を考えます。
$y=2x-1$で$x=-2$のときの$y$の値は$-5$
よって$(-2,-5)$を通ることがわかります。
このときの$y$の値が、$y$の変域の最小の値になります。
次に$x$が一番大きいときの$y$を考えます。
$y=2x-1$で$x=3$のときの$y$の値は$5$
よって$(3,5)$を通ることがわかります。
このときの$y$の値が、$y$の変域の最大の値になります。
よって$y$の変域は
$-5≦y≦5$
と求まるわけです。
変域を考える時はグラフは、変域の範囲内だけをかくようにします。
変域の範囲外のものは消してしまうか、点線で残すようにしましょう。
$x$の変域が$-2≦x≦3$なので$x=-2$と$x=3$を含みます。そのため、塗りつぶした丸で始めと終わりを印します。
ここまでグラフをかいて変域を考えることを強調してきました。
ぶっちゃけた話、一次関数では変化の割合が正の数ならば、グラフをかくまでもなく計算するだけで$y$の変域はすぐ求まります。
ただ、変化の割合が負の数の場合、計算だけで求めようとするとおそらく誰でも1回は必ず間違えます。
なぜか?
ということで次の例題を解いてみましょう。
変化の割合が負の数のときの$y$の変域
基本例題2
一次関数$y=-3x+2$において、$x$の変域が$-2≦x≦3$のときの$y$の変域を求めよ。
考え方
$x$の値が一番小さいときの$y$の値を求め、
$x$の値が一番大きいときの$y$の値も求めれば答えが出る
変域をしっかり理解していれば、この考え方で計算だけで求めてかまいません。
ただ変化の割合(傾き)が負の値なので、そこに注意が必要です。
解答
$y=-3x+2$に$x=-2$を代入して
$y=-3\times(-2)+2=8$
$y=-3x+2$に$x=3$を代入して
$y=-3\times3+2=-7$
よって$y$の変域は
$-7≦y≦8$ ←これが正しい解答
解説
$y$の変域は $8≦y≦-7$ としてしまったら間違えです。
この書き方だと「$-7$の方が$8$より大きい」となってしまっています。
おかしいですよね?
そのため正しい答えは $-7≦y≦8$ となります。
計算だけで求めようとするとつい大小関係を忘れ、誤った解答をしてしまいがちです。
なので、特に変化の割合が負の値のときは必ずグラフをかいて確認しましょう。
変化の割合が負の値なら、$x$が大きくなると$y$はそれに伴い小さくなっていきます。つまり、
$x$が最小のとき$y$は最大となり、
$x$が最大のとき$y$は最小となります。