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因数分解の解き方

因数分解とは

因数分解とは単項式の和で表されている式をかっこをつけて積の形で表すことです。
つまり式の展開の逆の操作をしていることになります。
そのため因数分解を学ぶ前提として、中3の最初に学ぶ式の展開と乗法公式を理解している必要があります。

式の展開、乗法公式をまだ学習していない人は、こちらのページを先に50~100回位学習してください。

因数分解にはパターンがあります。
そして因数分解のパターンに素早く気づけることがスムーズに進めるコツ。
因数分解がわからないという中学生は、このパターンを整理できていないのかもしれません。
ということで因数分解をパターン別に解説していきます。

共通因数をかっこの外に出すパターン

もっとも単純な因数分解のわかりやすい例として
$3x+6=3(x+2)$
を使って解説します。

$3x+6$は$3x$という単項式と$+6$という単項式の和です。
それぞれの単項式を見ると、共通して3で割ることができます。

この共通して割ることができる数を見つけることが因数分解のポイント。
共通して割ることができる数や文字のことを共通因数といいます。
上記の例では3が共通因数です。

「共通して割ることができる数をかっこの外に出し、かっこの中には割った後のものを残す」操作が因数分解です。

すると、$3\times(x+2)$という様に積の形で表わされます。

ここで疑問を持った人もいると思います。

「『積の形で表す』と冒頭に書いてあるのに$(x+2)$と和の形があるじゃないか! 積じゃねぇだろっ、あぁ!?」と。

確かに「$+$があるから間違ってんじゃねぇ?」 と感じるかもしれませんが、かっこの中のものはひとまとまりとみなします。
もっと言ってしまえば、1つの数値と解釈します。
そのため、
「$3$」と「1つの数値とみなしたもの」のかけ算 となるわけです。

因数分解は言葉で説明するよりも、とにかく実際に問題を解きまくった方がわかりやすく理解も早まります。ということでさっそく練習しましょう。

練習問題1
因数分解せよ。
$\begin{align}&(1)\quad2x+8&(2)&\quad5x^2-x&\\&(3)\quad4x^2-8x&(4)&\quad -5x^3-10x^2\end{align}$

考え方
$(1)$なら$2x$と$+8$に対して共通して割れる数(共通因数)がないかを見つけます。
$(2)$なら$5x^2$と$-x$に対して共通因数を見つけます。文字も因数になります。
$(3)(4)$も同様です。

解答
$\begin{align}&(1)\quad2x+8=2(x+4)&(2)&\quad5x^2-x=x(5x-1)&\\&(3)\quad4x^2-8x=4x(x-2)&(4)&\quad-5x^3-10x^2=-5x^2(x+2)\end{align}$

解説
$(3)$ $4x^2$と$-8x$に共通して割れる数を見つけるということで$2x$に注目し、$2x(2x-4)$と考えた人もいるかと思いますが、これは因数分解の解答としてはあまりよろしくありません。
共通して割れる数の中で最大のものをかっこの外に出すのが基本です。
$x$も共通因数となるので$4(x^2-2x)$も因数分解の解答としてはよろしくありません。

$(4)$ $5x^2(-x-2)$としても間違いではありません。ただ( の直後にくる項はあまりマイナスにはしません。
テストで$5x^2(-x-2)$と解答しても誤答にはなりませんが、できれば$-5x^2(x+2)$とした方が無難です。

乗法公式に当てはめるパターン

共通因数を含まない式を因数分解することもあります。
その場合は乗法公式に当てはめられないかを考えます
例えば、$x^2+5x+6$の因数分解を考えてみましょう。

乗法公式 $(x+a)(x+b)=x^2+(a+b)x+ab$ タイプが使えないか考えます。
なぜこのタイプで考えるかというと、このタイプが乗法公式の基本だからです。

このタイプの展開は足していくつか? かけていくつか? を考えるものでしたね。
なので因数分解はその逆の流れで進めます。
つまり「足して$+5$、かけて$+6$となる2数の組み合わせ」を見つけていきます。
見つける。そう、これはコツコツと地道に見つけるしかありません

すると$+2$と$+3$の2数が見つかります。
ということで、$(x+a)(x+b)$の$a$に$+2$、$b$に$+3$をあてはめて
結果は$(x+2)(x+3)$となります。
$(x+3)(x+2)$でも正解です。

因数分解は数値の組み合わせを地道に見つけていくので、式の展開のように瞬時にして解答を導くことは不可能です。

と書きつつ、式の展開を何度も繰り返し練習してきた人にとっては、実は瞬時に求められたりもします。

さぁいいですか。
足していくつか、かけていくつかを考えて$(x+a)(x+b)$の形を作るだけです。
練習しましょう。

練習問題2
因数分解せよ。
$\begin{align}&(1)\quad x^2+5x+4&(2)&\quad x^2-8x+12\\&(3)\quad x^2+5x-14&(4)&\quad x^2-9x+14\end{align}$

解答
$\begin{align}&(1)\quad(x+1)(x+4)&(2)&\quad(x-6)(x-2)\\&(3)\quad(x+7)(x-2)&(4)&\quad(x-7)(x-2)\end{align}$

補足
数値の組み合わせを考えるのに意外と時間がかかったと思います。
ただ式の展開を繰り返し何度も練習すれば、それに伴い因数分解も速く解答できるものです。
このページの冒頭に展開を50~100回位学習してくださいと書きましたが、別にふざけて書いたわけではなく、本当にそれ位繰り返し練習すると意外とすんなり因数分解ができるものなのです。
これは断言できます。

続けて練習しましょう。

練習問題3
因数分解せよ。
$\begin{align}&(1)\quad x^2+6x+9&(2)\quad x^2-10x+25\\&(3)\quad x^2+18+81&(4)\quad x^2-12x+36\end{align}$

解答
$\begin{align}&(1)\quad(x+3)^2&(2)\quad(x-5)^2\\&(3)\quad(x+9)^2&(4)\quad(x-6)^2\end{align}$

補足
$(1)$ 足して$+6$、かけて$+9$となる2数の組み合わせは$+3$と$+3$の2数とわかります。
よって$(x+3)(x+3)$となります。
が、同じものを2回かけるということは2乗として表します。
ということで$(x+3)^2$が因数分解としての解答です。
$(2)(3)(4)$も同様です。

練習問題4
因数分解せよ。
$\begin{align}&(1)\quad x^2-4&(2)&\quad x^2-49\\&(3)\quad x^2-64&(4)&\quad x^2-121\end{align}$

解答
$\begin{align}&(1)\quad(x+2)(x-2)&(2)&\quad(x+7)(x-7)\\&(3)\quad(x+8)(x-8)&(4)&\quad(x+11)(x-11)\end{align}$

補足
$x^2-a^2$タイプの因数分解は問題を見た瞬間に$(x+a)(x-a)$の形を思い浮かべられるようにしておきましょう。

工夫が必要な因数分解

ここまで共通因数のパターンと乗法公式の2パターンを解説しましたが、この2つは因数分解の基本です。
今後複雑な因数分解を解くこともありますが、複雑なものは基本パターンが使えるように工夫をしていきます。

共通因数をくくり出した後さらに因数分解を続けるパターン

基本例題1
$-2x^2+36x-162$ を因数分解せよ。

考え方
このまま因数分解しようとしても不可能なので工夫が必要です。
直接因数分解できないときは、まず以下2点を考えます。

  1. 共通因数があればかっこでくくる
  2. かっこでくくったあと乗法公式が使えそうならそれに当てはめる

解答
$\begin{align}&-2x^2+36x-162\\=&-2(x^2-18x+81)\\=&-2(x-9)^2\end{align}$

解説
因数分解に不慣れなうちは共通因数をかっこの外に出しただけで終わってしまいがちです。
$-2(x^2-18x+81)$で終わってしまってはテストでは誤答扱いになってしまいます。
かっこの中が因数分解できるならさらに続けます。
練習問題1の解説でも書きましたが、( の直後にくる項はあまりマイナスにはしないので、$-2$をかっこの外にくくり出しました。

いったん別の文字に置き換えるパターン

とにかく乗法公式の形に当てはめたい。そのために工夫をします。

基本例題2
$(x+1)^2+3(x+1)+2$ を因数分解せよ。

考え方
展開して$x^2+2x+1+3x+3+2$として進めても良いのですが、ここは$(x+1)$に注目します。
$(x+1)$が2か所にあるのでいったん$A$と置き換え、
$A^2+3A+2$ とします。この形なら因数分解できますね。

解答
$(x+1)=A$とすると
$\begin{align}&A^2+3A+2\\=&(A+2)(A+1)\\=&(x+1+1)(x+1+2)\\=&(x+2)(x+3)\end{align}$

解説
$(x+1)$の形をしたものが2つあります。同じ形をしたものが複数あるときは別の文字に置き換えて進めると考えやすくなることがよくあります。
もっとも基本例題2は置き換えなくても因数分解できますが、置き換えた方が計算ミスする危険を少し減らせます。
置き換えは因数分解以外でもよく使う方法なので覚えておきましょう。
なお、自分で勝手に置き換えた文字は、必ずもとの形に戻します。

ここまで因数分解のパターンとして4つ解説しましたが、結局行きつくのは共通因数と乗法公式です。
どんなに複雑に見える因数分解でも中学で学ぶものなら、共通因数を見つけて乗法公式に当てはめる流れに沿えばほとんどが解けます。

乗法公式や因数分解は日常生活で役に立つのか?

乗法公式や因数分解は今後新たに学ぶ数学を考えていく上での道具です。
その道具を上手く使えるように練習しているのが中3なわけです。

数学を勉強していると、「こんなこと日常のいつ使うんだ!? 日常生活で役に立たないなら勉強してられねぇ!!」と思うことも度々あると思います。
乗法公式や因数分解もまた然り。

しかし残念ながら日常生活で直接役に立つことはほとんどありません。
せいぜい暗算でお金の計算をする時くらいでしょう。
ならば暗算でお金の計算を素早くできるようにトレーニングしましょう。

例えばこんなシチュエーションならあると思います。

例題
運動会が終わったら次は合コンをやる学校も多いと思います。
合コンでは歌ったり、異性と仲良くなったりと、まぁそれなりに楽しいと思います。

さて、合コンをやるからには準備費用が必要です。
1人あたり105円を95人から集めます。
総額はいくらか?暗算で求めましょう。

考え方
計算式は$105\times95$です。これを暗算でやります。
もちろん工夫が必要です。
で、その工夫に乗法公式を使います。

これは気づきが必要になってきますが、
$100\times$〇の計算はラクですね。
なので105と95を100を使って表します。すると
$105=100+5$
$95=100-5$ ですね。(気づけなかったら暗算は厳しい)

ということは
$105\times95=(100+5)(100-5)$
$(100+5)(100-5)$なら暗算できそうです。

解答
$\begin{align}&(100+5)(100-5)\\=&10000-25\\=&9975\end{align}$

よって総額$9975$円

合唱コンクール 略して合コン