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等式の性質と方程式

ここでは方程式の解き方の土台になる「等式の性質」について確認します。
かなり理屈っぽい内容ですが、理屈からしっかり学ぶことで今後の数学の理解度が大きく上がります。

方程式とは何か?

まずは方程式を学ぶ上で必要な用語を確認します。言葉の意味のちがいをしっかり理解しておきましょう。

●等式●

等式とは、数値や文字、式などが等しい時に、=で結んだ形の式をいいます。
$1+1=2$
$a(b+c)=ab+ac$
$2+1=7-4$
などは全て=で結ばれているので等式です。

●文字式●

文字式とは、単純に文字を使って表した式のことです。
$a+b$
$5x+2x$
$7-2y$
などは文字式です。必ずしも=で結ばれているわけではありません。

●方程式●

方程式とは、変数にある特定の数値を代入することで成り立つ等式のことです。
変数とは色々な値を取ることができる文字のことです。
基本的に数学の世界では、文字には様々な数値を当てはめて考えます。その意味で、文字を見たらそれが変数だと考えてください。

例えば $x+1$ (←これは文字式)
$x$は変数です。$x$が$1$なら式の値は$2$だし、$x$が$9$なら$10$といった様に、好き勝手に数値を当てはめて考えることができます。

ところが $x+1=5$ となったらどうか?
=で結ばれているので等式です。等式なので=の左側と右側が等しくないといけません
文字は変数だから様々な数値を当てはめて良いのですが、$x+1=5$については$x$が$4$にならないと等式が成り立ちません。
つまり、特定の数値$4$を代入することで成り立つので方程式となります。

まわりくどく書きましたが、とりあえず「方程式とは=で結ばれている文字式」とざっくり考えてください。
方程式は等式の一種で、文字に入る数値を特定するものだ、とわかると思います。

方程式の用語

方程式を考える時にはいくつか用語を使います。よく使う言葉なのでしっかり確認しましょう。

  • 等号 =のこと。これはわかりますよね
  • 左辺 =の左側にある数値や文字、式のこと
  • 右辺 =の右側にある数値や文字、式のこと
  • 両辺 左辺と右辺を合わせて両辺といいます
  • 変数 色々な値を取ることができる文字
  • 未知数 値がわからないもの 変数とほぼ同じ意味

方程式を解くとは? 等式の性質

●方程式を解くとは●

方程式を解くとは、「等式を満たす文字の値を特定する」ということです。
例えば、「方程式$x-2=5$ を解け」と問題文にあったら、「左辺が5となる$x$の値を求めろ」という意味になります。
なので答え方は、
「$x=〇$」という形にします。
そして方程式を満たす文字の値のことを「解(かい)」といいます。

方程式を解くためには計算をしますが、その計算をする際、4つの重要な考え方を元に進めます。それが次に挙げる等式の性質です。

●等式の性質●

  1. 両辺に同じ数字を足しても等式は成り立つ $A=B$ なら $A+C=B+C$
  2. 両辺から同じ数を引いても等式は成り立つ $A=B$ なら $A-C=B-C$
  3. 両辺に同じ数をかけても等式は成り立つ $A=B$ なら $AC=BC$
  4. 両辺を同じ数字で割っても等式は成り立つ $A=B$ なら $\dfrac{A}{C}=\dfrac{B}{C}$

小難しく感じますが別にどうってことはない。小学校で既に学んでいることを文字式にしただけです。

例えば等式の性質①を具体例で示すと、$2+3$と$6-1$は見た目は違うけど両方とも$5$で計算結果自体は等しいですよね。だから$2+3=6-1$です。この両辺に$10$を足したとします。すると
$2+3+10=6-1+10$で両辺とも等しい結果となる。当たり前ですよね。

等式の性質②なら、$2+3=6-1$の両辺から$4$を引いたとしたら
$2+3-4=6-1-4$となりやっぱり等式が成り立つ。

等式の性質③なら$2+3=6-1$の両辺に$4$をかけたとしたら
$(2+3)\times4=(6-1)\times4$で両辺$20$となり等式が成り立つ。

等式の性質④なら$2+3=6-1$の両辺を$5$で割ったとしたら
$\dfrac{(2+3)}{5}=\dfrac{(6-1)}{5}$で両辺1となり等式が成り立つ。

繰り返しますが、等式の性質は何ら難しいことは言っていない。極めて当たり前のことが書かれているだけです。この極めて当たり前のことを、極めて当たり前だと思えてください。

それでは用語と等式の性質をふまえ、例題を使って方程式の解き方を見ていきます。

等式の性質を使った方程式の解き方

方程式を解く時は $x=〇$ の形を作る

方程式を解く、つまり「$x=〇$」という答え方をするために、この等式の性質①~④のどれかを使って解いていきます。
どれを使うのかは方程式の形により変わってきます

方程式を解くときは左辺は左辺、右辺は右辺で別々に計算します。このことにも注意しましょう。

例題1 方程式$x-3=8$を解け

考え方 「方程式を解け」とあったら「$x=〇$」の形をつくる。左辺は左辺、右辺は右辺でそれぞれ別々に計算
左辺$x-3$の$-3$が無くなれば$x=$の形ができる。そのためには両辺に$3$を足せば左辺に$x=$ができる。よって等式の性質①を使って$-3$を消していこう。

解答 $x-3=8$

$x-3+3=8+3$

←等式の性質① $-3+3$から$0$となり左辺に$x$だけが残る

    $x=11$

←$x=〇$の形なのでここで終了

例題2 方程式$x+3=8$を解け

考え方 「$x=〇$」の形をつくるために、等式の性質②から両辺$3$を引こう。

解答 $x+3=8$

$x+3-3=8-3$

←等式の性質② $+3-3$から$0$となり左辺に$x$だけが残る

    $x=5$

ここまでは、似たようなことを小学校の時に学んでいると思います。次からがほんの少し踏み込んだ内容になってきます。

例題3 方程式$\dfrac{1}{3}x=5$を解け

考え方 「$x=〇$」の形をつくります。左辺の$\dfrac{1}{3}x$は$\dfrac{1}{3}\times$$x$のことですよね。$\dfrac{1}{3}$に$3$をかければ約分できて$1x$となります。
ここで要注意!!
$1x$の$1$は書かない決まりがありました。
つまり$1x=x$です。$0x$が$x$じゃないですからね。

解答 $\dfrac{1}{3}x=5$

←等式の性質③ 分母と同じ数をかければ約分できて、$x$だけが残る

$\dfrac{1}{3}x\times3=5\times3$

   $x=15$

例題4 方程式$7x=21$を解け

考え方 両辺を$7$で割れば$x=〇$の形を作れます。

解答 $7x=21$

←等式の性質④ 両辺を$x$の係数$7$で割れば$x=〇$の形ができる

$7x\div7=21\div7$

   $x=3$

等式の性質は理屈を理解して

ここにあげた例題は全て基本中の基本です。
等式の性質をそのまま適用しただけなので、方程式の解き方で迷った時は、この例題を振り返るようにしましょう。

等式の性質は、理屈をしっかり理解してほしいところです。
随分とまわりくどく書いて方程式を解きましたが、実はもう少し楽に計算することができます。

でもその楽をするためには、どうしても等式の性質を知っていないと楽にならないのです。

決して難しいことを学んでいるわけではないので、しっかり理屈から理解してください。