変化の割合とは
一次関数$y=ax+b$において、$a$を変化の割合、$b$を切片といいます。
変化の割合とは、$x$の値が1ずつ大きくなると、それにつれて$y$の値がどのように変化するのかを表しています。
変化の割合と切片という用語は一次関数のグラフをかくときに特によく出てきます。
超重要用語なのでしっかり覚えておきましょう。
と、文字で書かれても理解するのが難しいのが正直なところ。
これだけで理解できたらズバリ『数学マイスター』です。
ということで、実際に一次関数を使いながら変化の割合と切片を理解していきましょう。
変化の割合の意味
$x$の値が1ずつ大きくなるとき
例として、一次関数$y=2x+1$について考えます。
$x$に適当に値を代入して$y$の値の関係を見てみます。
$x$ | ・・・ | $-3$ | $-2$ | $-1$ | $0$ | $1$ | $2$ | $3$ | ・・・ |
$y$ | ・・・ | $-5$ | $-3$ | $-1$ | $1$ | $3$ | $5$ | $7$ | ・・・ |
$x$に$-3$から$3$まで代入すると$y$の値はそれぞれ表のようになります。
ここで$y$の値の増え方に注目します。
$x$の値が$1$ずつ大きくなると、それに伴い$y$の値は$2$ずつ大きくなっています。
その$2$ずつ大きくなる理由が$2x$の$2$にあります。
$y=3x+1$でも考えてみます。
$x$ | ・・・ | $-3$ | $-2$ | $-1$ | $0$ | $1$ | $2$ | $3$ | ・・・ |
$y$ | ・・・ | $-8$ | $-5$ | $-2$ | $1$ | $4$ | $7$ | $10$ | ・・・ |
$x$の値が$1$ずつ大きくなると、それに伴い$y$の値は$3$ずつ大きくなっているのがわかります。
$3$ずつ大きくなる理由が$3x$の$3$にあります。
$y=-2x+1$でも考えてみます。
$x$ | ・・・ | $-3$ | $-2$ | $-1$ | $0$ | $1$ | $2$ | $3$ | ・・・ |
$y$ | ・・・ | $7$ | $5$ | $3$ | $1$ | $-1$ | $-3$ | $-5$ | ・・・ |
$x$の値が$1$ずつ大きくなると、それに伴い$y$の値は$-2$ずつ大きくなっいます($2$ずつ小さくなっている)。
$-2$ずつ大きくなる理由が$-2x$の$-2$にあります。
このように、$x$の値が$1$ずつ大きくなると、それに伴い$y$の値がどう変化するのかを表している。それが$a$の部分になります。
まさに変化のしかたを表している。
ということで$y=ax+b$の$a$のことを変化の割合といいます。
一次関数$y=ax+b$の$a$のことを変化の割合という
変化の割合は、$x$の値が$1$ずつ大きくなるとそれに伴い$y$の値がどう変化するのかを表している
割り算の意味
突然ですが、小学校のときに割り算をどのように教わりましたか?
ここで「覚えてません」と言われてしまうとちょっと・・・。
まして「数が苦手で割り算なんてわかりません」などと言われるとちょっとマイってしまいます。
それはともかく、割り算は「等しく分けるときに使う」と習っていると思います。
でも割り算にはもう1つ大切な考え方があります。それは
「1つあたりの量を求める」
「$1$つにつきどれ位あるか」
を計算するときに使うということ。
例えば、
『$10$個のチョコを$5$等分して箱に入れるとき、$1$箱のチョコの個数は何個になるか?』
というとき、
$10\div5=2$と計算しますよね。
で、「$1$箱あたり$2$個」「$1$箱につき$2$個」と求まります。
この「$1$つあたりの」「$1$つにつき」というところを思い出しておいてください。
変化の割合の求め方
変化の割合は計算で求めることができます。
$変化の割合=\dfrac{yの増加量}{xの増加量}$
この計算式をしっかり覚えてください。
どうしてこの計算式で変化の割合を求められるのかというと、割り算の意味で説明できます。
改めて一次関数$y=2x+1$の表を使って、変化の割合を計算で求める方法を見ていきます。
$x$ | ・・・ | $-3$ | $-2$ | $-1$ | $0$ | $1$ | $2$ | $3$ | ・・・ |
$y$ | ・・・ | $-5$ | $-3$ | $-1$ | $1$ | $3$ | $5$ | $7$ | ・・・ |
$x$が$-3$から$-2$まで$1$大きくなると、$y$は$-5$から$-3$まで$2$大きくなっています。
$x$の増加量が$1$で、$y$の増加量が$2$です。これより変化の割合は
$\dfrac{yの増加量}{xの増加量}=\dfrac{2}{1}=2$ と計算で求まります。
$x$が$1$から$2$まで$1$大きくなると、$y$は$3$から$5$まで$2$大きくなっています。
$x$の増加量が$1$で、$y$の増加量が$2$です。これより変化の割合は
$\dfrac{yの増加量}{xの増加量}=\dfrac{2}{1}=2$ と計算で求まります。
$x$が$1$つ大きくなるにつき、$y$は$2$大きくなる
これ、割り算の意味そのものですよね。
さらに見ていきます。
$x$が$-3$から$2$まで$5$大きくなると、$y$は$-5$から$5$まで$10$大きくなっています。
$x$の増加量が$5$で、$y$の増加量が$10$です。これより変化の割合は
$\dfrac{yの増加量}{xの増加量}=\dfrac{10}{5}=2$ と計算で求まります。
これ、$x$が$1$大きくなるにつき、$y$は$2$大きくなることを表しています。
$10$個のチョコを$5$等分して箱に入れるとき、$1$箱につき$2$個入るのと同じ理屈です。
このように$x$と$y$、それぞれ対応する区間で変化の割合を求めると、必ず同じ値として求まります。
これはとても重要な性質なのでしっかりおさえておきましょう。
それではここまでの内容を踏まえ、変化の割合を求める練習問題をやってみます。
基本例題1
$(1)$ $y=5x+3$の変化の割合を求めよ。
$(2)$ $y=-2x-7$の変化の割合を求めよ。
$(3)$ $x$の増加量が$2$、$y$の増加量が$8$のときの変化の割合を求めよ。
$(4)$ $x$の増加量が$2$、$y$の増加量が$-8$のときの変化の割合を求めよ。
$(5)$ $x$の値が$1$から$6$まで増加するとき、$y$の値は$7$から$17$まで増加する。このときの変化の割合を求めよ。
$(6)$ $x$の値が$2$から$5$まで増加するとき、$y$の値は$-4$から$-13$まで増加する。このときの変化の割合を求めよ。
考え方
$(1)$と$(2)$は見た瞬間に答えを出せないといけません。
$(3)$~$(6)$は変化の割合を求める計算式を使います。解き方そのものを覚えてしまいましょう。
増加量は「変化後の値」から「変化前の値」を引けば求められます。
解答
$(1)$ $5$
$(2)$ $-2$
$(3)$ $\dfrac{yの増加量}{xの増加量}$より$\dfrac{8}{2}=4$
$(4)$ $\dfrac{yの増加量}{xの増加量}$より$\dfrac{-8}{2}=-4$
$(5)$ $x$の増加量は$6-1=5$ $y$の増加量は$17-7=10$ よって$\dfrac{10}{5}=2$
$(6)$ $x$の増加量は$5-2=3$ $y$の増加量は$-13-(-4)=-9$ よって$\dfrac{-9}{3}=-3$
補足
変化の割合は$x$の値が$1$ずつ大きくなるときの$y$の値の変化の仕方を表しているので、増え方の目安がわかります。
変化の割合の値が負の数のときは、$x$が$1$ずつ大きくなると$y$の値が小さくなっていくことを表します。
変化の割合の絶対値が大きいと、増え方(減り方)が急激になることがわかります。グラフを描くときに重要な考え方になるので、覚えておきましょう。
変化の割合は中学数学の中でも特に重要な内容です。
高校入試でも必ず出題されるので、何度も繰り返し学習しておきましょう。
切片とは
一次関数$y=ax+b$の$b$のことを切片(せっぺん)といいます。
$x=0$のときの$y$の値を表しています。
$y=2x+1$の$x$に$0$を代入すると$y=2\times0+1$となり$y=1$と求まります。
グラフにすると座標平面上の点$(0,1)$を通るということを簡単におさえておいてください。詳しくはグラフのページで扱います。
ここまでの内容がわかると次のような一次関数の初歩的な問題が解けるようになります。
テストでよく出題されるタイプの問題です。解き方を覚えてしまってください。
基本例題2
$x=3$のとき$y=8$で切片が$2$となる。この一次関数の式を求めよ。
考え方
問題文に一次関数の式を求めよとあったら、$y=ax+b$とおいて考えます。
そこに問題にある条件を代入して$a$と$b$の値を求めます。
解答
求める一次関数を$y=ax+b$とおき$x=3$、$y=8$を代入すると
$8=3a+b$
切片が$2$なので$8=3a+2$
これより
$\begin{align}3a+2&=8\\3a&=6\\a&=2\end{align}$
よって求める一次関数は $y=2x+2$