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根号のあるかけ算

根号のついた数も加減乗除の計算はあります。
ただ、計算のルール自体は今まで学んできたものと同じ。
根号があると一見難しそうに感じますが、根号の扱いに少し気をつければそれほど難しくはないはずです。
このページでは根号のついた数のかけ算を学びます。

平方根の乗法の基本

$a\gt0,b\gt0$ のとき

$\sqrt{a}\times\sqrt{b}=\sqrt{ab}$


$\sqrt{a^2\:b}=a\sqrt{b}$

根号の中は負の値を考えません。そのため$a$と$b$は正の数だということで、
$a\gt0,b\gt0$のとき」
と加えています。

根号のついた値の乗法は単純に、
根号の中の数値をそのままかけ算してその結果に根号をつければ良いだけです。
あとは中1で既に学んでいる正負の数の計算法則に沿って進めます。
それでは早速練習。

超基本例題1
次の計算をせよ。
$\begin{align}(1)&\quad\sqrt2\times\sqrt3&(2)&\quad-\sqrt5\times\sqrt2\\(3)&\quad\sqrt7\times(-\sqrt3)&(4)&\quad-\sqrt3\times(-\sqrt{11})\end{align}$

解答
$(1) \sqrt6 (2) -\sqrt{10} (3) -\sqrt{21} (4) \sqrt{33}$

超基本例題レベルの問題は解けること必須!!
この問題ができないと他の平方根の問題もかなり厳しくなってしまいます。
根号があっても正$\times$負$=$負 負$\times$負$=$正 です。
引き続き超基本例題を解いていきましょう。

超基本例題2
次の計算をせよ。
$\sqrt2\times\sqrt6$

考え方
計算自体は何ら難しくありません。
ただ、根号の中はできるだけ小さい数値に変形するルールがありました。
そこは気をつけましょう。

解答
$\begin{align}\sqrt2\times\sqrt6=&\sqrt{12}\\=&\sqrt{2^2\times3}\\=&2\sqrt3\end{align}$

解説
根号の中はできるだけ小さい数値に変形
$a\sqrt b$の形に変形できるときは必ず変形します。
計算をしているとついうっかり忘れてしまう所です。
$\sqrt{12}$のままで解答すると、テストでは誤答扱いになるので要注意。ほとんどの中学生が1度はやらかします。
平方根の計算に慣れるまでは必ず、根号の中を簡単に出来ないか確認するようにしましょう。

$a\sqrt b$ は $a\times\sqrt b$

$a\sqrt b$ は $a$と$\sqrt b$ のかけ算であることに注意しましょう。
超基本例題2の解答の$2\sqrt3$は、$2\times\sqrt 3$のことです。

文字式の表し方と同様
根号のついた数とついていない数のかけ算は$\times$を省略して書きます。

よって$2\sqrt3$は
$2\sqrt3$という1つの数として考えることもできるし、
$2$と$\sqrt 3$のかけ算として考えることもできます。

臨機応変にどちらの考え方もできるようにしておきましょう。
とここで、

計算するときは根号のついた数とついていない数を直接まとめることはできない
と覚えてください。
$2\sqrt3$は$2\sqrt3$でこれ以上まとめることはできない。
かけ算をするときは、$2$と$\sqrt3$を別々にかけ算をします。

もしまとめるのであれば$2$を$2^2$にして根号の中に入れて、
$\sqrt{2^2\times3}$としてから
$\sqrt{12}$にするしかありません。

このことをふまえ次の超基本例題を考えましょう。

超基本例題3
次の計算をせよ。
$(1) 2\sqrt3\times5$
$(2) 2\sqrt3\times\sqrt2$
$(3) 2\sqrt3\times5\sqrt2$

解答
$(1) 2\sqrt3\times5=10\sqrt3$
$(2) 2\sqrt3\times\sqrt2=2\sqrt6$
$(3) 2\sqrt3\times5\sqrt2=10\sqrt{6}$

解説
根号のついているものどうし、根号のついていないものどうしでそれぞれかけ算をします。
根号の外にある数値を根号の中に入れてかけ算すると、ただただ面倒なだけなのでやめておきましょう。

$\begin{align}&2\sqrt3\times5\sqrt2\\=&\sqrt4\times\sqrt3\times\sqrt{25}\times\sqrt2\\=&\sqrt{600}=\cdots\end{align}$
この計算方法でも解けますが、根号の中の数値を小さくしなければなりません。
とにかく面倒になるのであまりお勧めはできません。

ここまで根号のついたかけ算の超基本を確認しました。
次にここまでのことを踏まえてほんの少しレベルアップしたかけ算を確認しましょう。

基本例題1
$\sqrt{15}\times\sqrt{21}$を計算せよ。

考え方
根号の中の$15\times21$を先に計算して後で根号の中を小さい数値にしても良いですが、それでは手間がかかり過ぎます。
$\sqrt{15}$と$\sqrt{21}$を分解できることに気づけると計算が一気に楽になります。

解答
$\begin{align}&\sqrt{15}\times\sqrt{21}\\=&\sqrt3\times\sqrt5\times\sqrt3\times\sqrt7\\=&\sqrt3\times\sqrt3\times\sqrt5\times\sqrt7\\=&3\sqrt{35}\end{align}$

解説
$\sqrt{15}$と$\sqrt{21}$がそれぞれ、
$\sqrt3\times\sqrt5$ と
$\sqrt3\times\sqrt7$ であることに気づけると暗算で求められます。
気づけなければ$15\times21=315$を素因数分解していき、根号の中を小さい数値にしていきます。
その場合面倒だしミスする危険が増すので、計算する前に根号の中を簡単にできないかを考えるようにしましょう。
類題で練習すれば考え方が身につきます。

類題1
次の計算をせよ。
$\begin{align}(1)&\:\sqrt{30}\times\sqrt2\\(2)&-\sqrt{75}\times\sqrt{12}\end{align}$

解答
$\begin{align}(1)&\quad\sqrt{30}\times\sqrt2\\&=\sqrt{60}\\&=\sqrt{2^2\times3\times5}\\&=2\sqrt{15}\end{align}$

別解
$\begin{align}&\sqrt{30}\times\sqrt2\\=&\sqrt2\times\sqrt3\times\sqrt5\times\sqrt2\\=&\sqrt2\times\sqrt2\times\sqrt3\times\sqrt5\\=&2\sqrt{15}\end{align}$

解説
先に積を求めてから根号の中を簡単にしても、先に$\sqrt{30}$を分解してから積を求めても、どちらでも求められます。
数値によりどちらの方法が計算しやすいかが変わってくるので、その都度計算しやすい方法で進めましょう。

$\begin{align}(2)\quad&-\sqrt{75}\times\sqrt{12}\\=&-\sqrt{5^2\times3}\times\sqrt{2^2\times3}\\=&-5\sqrt3\times2\sqrt3\\=&-5\times2\times\sqrt3\times\sqrt3\\=&-10\times3\\=&-30\end{align}$

補足
$\sqrt{75}$ は $5\times\sqrt3$ と変形できます。
では$-\sqrt{75}$を変形するとき$-$は
$5$ につけるのか、それとも $\sqrt3$ につけるのか?

結論からすると$5$でも$\sqrt3$でもどちらでもかまいません。
つまり $-\sqrt{75}$ は
$-5\times\sqrt3$ かもしれないし
$ 5\times(-\sqrt3)$ かもしれない。
数値だけを見た場合、どちらに$-$がつくのかの判断はできません。
よって計算するときは考えやすい方に$-$をつけて進めましょう。