物事を数値で考えるということは、つまり物事の大小を考えていることになります。
数値で考えるからこそ、より具体的に詳しく大小を考えることができます。
そして数の範囲を整数だけでなく小数や分数、さらには平方根まで扱って考えると、より精密に比較できるようになります。
このページでは平方根の大小について扱い、別ページで紹介する平方根の計算問題や初歩的な応用問題を解くための知識を広めていきます。
平方根の語呂合わせ
1桁の数値の平方根はおおよその値で良いので覚えておきましょう。
語呂合わせが有名なので紹介しておきます。語呂合わせなので深い意味は考えないコト。
$\sqrt2\fallingdotseq 1.41421356・・・$
(一夜一夜に人見ごろ・・・)
夜ごと人間観察するのに最高の季節だぜ!! ってところでしょうか。
コンプライアンス的にヤバそうな語呂合わせでインパクト絶大です。

$\sqrt3\fallingdotseq 1.7320508・・・$
(人並みに奢れや・・・)
見栄は張りたい。でもお金は払いたくない。
そんな時他人から「人並みに奢れや」など言われたら若干イラっと来ます。

$\sqrt5\fallingdotseq 2.2360679・・・$
(富士山麓オウム鳴く・・・)
オウムは人の言葉をマネします。
おそらく「富士山麓」とオウムが鳴いているのでしょう。

$\sqrt6\fallingdotseq 2.44949・・・$
(煮よよくよく・・・)
料理と関連させて覚えることが多いようです。

$\sqrt7\fallingdotseq 2.645751・・・$
(何? 虫いない・・・!?)
夏の夜の台所。
ガサガサ音がすると間違いなくいます。

$\sqrt8\fallingdotseq 2.828427・・・$
(ニヤニヤ呼ぶな・・・)
気になる異性に連絡するときは何かと妄想が働くものです。
ニヤつきます、どうしても。

それでは平方根の大小について練習しましょう。
基本例題1
次の各組の値を不等号を使って表せ。
$\begin{align}(1)&\sqrt7&\sqrt{11}\\(2)&\sqrt{29}&\sqrt{13}\\(3)&-\sqrt5&-\sqrt3\end{align}$
考え方
単純に根号の中の数値に注目し大小比較します。
負の値のものは注意しましょう。
解答
$\begin{align}(1)&\sqrt7\lt\sqrt{11}\\(2)&\sqrt{29}\gt\sqrt{13}\\(3)&-\sqrt5\lt-\sqrt3\end{align}$
根号の中が負の値とは?
平方根とは、2乗するとその数になるもののことでした。つまり
$\sqrt5$とあったら、
「2乗すると5になる数で正のもの」という意味、
$-\sqrt5$とあったら、
「2乗すると5になる数で負のもの」という意味です。
さあ、ここでちょっと考えてください。
$\sqrt{-5}$
とあったらどういうことか解りますか?
これを日本語に翻訳すると
「2乗すると$-$5になる数で正のもの」
となります。
ちょっと何言ってるかわからないですよね?
今まで学んできた数は2乗すると正の数になるか、もしくは0になるものばかりでした。
つまり
根号の中が負の値になっていること自体が間違いなのです。
そのため根号の中が負の値になるものがあった場合、どこかで必ず間違いがあると考えてください。
ちなみに根号の中が負の値になる数はあるにはありますが、中学では学びません。よってこのサイトでもそのような数は扱いません。
ということで

$a$と$b$がそれぞれ正の数で、$a\lt b$ならば
$\sqrt{a}\lt\sqrt{b}$
となります。
中学の学習範囲では$a$と$b$が負の場合は考えません。
平方根の大小比較
基本例題1で大小比較の問題をやりましたが、ここではもう少し踏み込んだ問題を使って練習します。
基本例題2
次の各組の値を不等号を使って表せ。
$\begin{align}(1)&4\quad\sqrt{13}\\(2)&-\sqrt{17}\quad -5\\(3)&12\quad\sqrt{169}\end{align}$
考え方
根号がついた値とついていない値を同時に比較することはできません。
$(1)$と$(2)$は根号をつけた形に変形して比較した方が考えやすいです。
$(3)$も根号をつけた形にしても良いですが、$\sqrt{169}$は整数で表せます。
なお$(2)$は「17の平方根で負の値のもの」と「$-$5」の大小比較をする問題です。
解答
$(1)\quad 4=\sqrt{16}$ より $4\gt\sqrt{13}$
$(2)\quad -5=-\sqrt{25}$ より $-\sqrt{17}\gt-5$
$(3)\quad\sqrt{169}=13$ より $12\lt\sqrt{169}$
補足
根号がつかない形に変形して比較するか、あるいは根号がつく形に変形して比較するかは、問題の数値を見てその都度考えます。
根号の中の数値がある数の2乗の場合は、根号のつかない形で比較すると良いでしょう。
$11~15$までの数の2乗はそれぞれ
$121,144,169,196,225$です。これらの数はよく出てきます。
基本例題3
$\sqrt{a}\lt 2.5$を満たす自然数$a$を全て求めよ。
考え方
根号がついた値とついていない値を同時に比較することはできないので、$2.5$を根号をつけた形で表して考えます。
自然数とは正の整数のこと。$0$は含みません。
解答
$2.5=\sqrt{6.25}$より
$\sqrt{a}\lt \sqrt{6.25}$
これよりあてはまる自然数は
$1,2,3,4,5,6$
補足
$a$の値がわからないので、$\sqrt{a}$を根号のつかない形で表すことはできません。
そのため、$2.5$を根号をつけた形にして考えるしかありません。
基本例題4
$\sqrt{15}\lt a \lt\sqrt{50}$ を満たす自然数$a$を全て求めよ。
考え方
根号がついた値とついていない値を同時に比較することはできないので、$a$を根号をつけた形で表して考えます。
解答
$\sqrt{15}\lt a \lt\sqrt{50}$より
$\sqrt{15}\lt \sqrt{a^2} \lt\sqrt{50}$ とおける
$a$は自然数より
$15\lt a^2\lt50$を満たす$a^2$を求めると
$a^2=16,25,36,49$
よって
$a=4,5,6,7$
補足
$15\lt a^2\lt50$まで特定できたら、あとは地道に見つけていきます。
とは言っても、$1~9$までの2乗の数を覚えていればそれほど苦労せずに見つけられるはずです。
なお、
$\sqrt{15}\fallingdotseq 3.\cdots$
$\sqrt{50}\fallingdotseq 7.\cdots$ と、おおよその値を知っていれば、
その時点で$a=4,5,6,7$が求まります。

根号の中の文字の値を求める
このページのしめくくりとして平方根の初歩的な応用問題で、自然数をつくる$n$の値を求める問題を紹介します。
ただいきなり本題にはいると難しいので、先に前提となる基本事項を確認しておきます。
$3$に自然数をかけて、ある自然数の2乗を作ろうと思う。
どんな自然数をかければ良いか?
自然数とは正の整数のことですよね。ということで
「3に何でもいいから自然数をかけて自然数の2乗、つまり$1,4,9,16,25,36,49,64,81,\cdots$のどれかができるようにしたい」というのが主旨です。すると
$3$に$3$をかけると$9$で$3^2$ができますね。
他にも
$3$に$12$をかけると$36$で$6^2$ができます。
$3$に$27$をかけると$81$で$9^2$ができます。
他にも探せば無限に出てきますが、上記を使って基本事項を確認します。
まず$3$に$3$をかけると$3^2$はわかりますよね。
次に$3$に$12$をかけると$36$で$6^2$。
ここでどうして$12$が突然出てきたかというと、素因数分解をしてみるとわかります。
$12=2^2\times3$です。
そして$3$に$12$をかけるということは
$3\times12=3\times2^2\times3$
$\begin{align}3\times12&=2\times3\times2\times3\\36&=6\times6\\36&=6^2\end{align}$
$3$をかけたことで、$3^2$ができたのがポイント。
ある数の2乗と別のある数の2乗の積は、何らかの数の2乗となります。
$3$に$27$をかけると$81$で$9^2$でも確かめてみます。
$27$を素因数分解すると
$27=3^3$です。
そして$3$に$27$をかけるということは
$3\times27=3\times3^3$
$\begin{align}3\times27&=3\times3\times3\times3\\81&=9\times9\\81&=9^2\end{align}$
この基本事項だけを見ると、こんなことして何の意味があるのか!?と思うかもしれません。
ただ、「2乗の数を強引に作り出す」という考え方は今後の数学でも出てきます。
今は問題を解くためのテクニックを身につけていると思ってください。

ある自然数の2乗の数をつくるときは
2乗$\times$2乗$\times$2乗$\cdots$ の形をつくる
ということで、ここまでを踏まえ次の基本例題を解いてみましょう。
基本例題5
次の値が自然数となるように自然数$n$をかける。このときもっとも小さい$n$の値を求めよ。
$(1)\sqrt{18n} (2)\sqrt{180n}$
考え方
$n$の値は無限にありますが、もっとも小さいものに限定すると1つです。
根号の中の値が自然数の2乗の形になれば根号をはずせます。
解答
$\begin{align}(1)\quad18&=2\times3^2\\18\times2&=2^2\times3^2\\36&=6\times6\end{align}$
これより
$\sqrt{18\times2}=\sqrt{6^2}=6$
よって $n=2$
$\begin{align}(2)\quad180&=2^2\times3^2\times5\\180\times5&=2^2\times3^2\times5\times5\\900&=6\times6\times5\times5\\900&=30\times30\end{align}$
これより
$\sqrt{180\times5}=\sqrt{30^2}=30$
よって $n=5$
解説
ここでは基本を確実に理解してもらうためにまわりくどく途中式をかきました。
ただこの問題、要は
根号中の数値を素因数分解し、それぞれの値が2乗の形になるように$n$を特定
すれば解答終了です。
よって$(2)$ならば
$180=2^2\times3^2\times5$より
$n=5$
と解答すれば十分です。
途中式も詳しく書けとの条件があったら、例題解答のようにしておきましょう。