方程式の文章題を解く手順は以下の通りです。
- ふつう求めるものを$x$とする
- 数量関係に注意して方程式を作る
- 作った方程式を解く
- 求めた解が正しいか確かめる
手順1で「ふつう」と強調しています。ならば普通じゃない時があるのかというと、あります。それがこのページで紹介する整数に関する方程式の文章題です。
次の基本例題で紹介するものは、求めるものを$x$とするとうまく方程式が作れず解答できません。
そのため、求めるものではないものを$x$として解いていきます。
その代表的な問題が次に紹介する「2桁の整数を求める方程式」です。
十の位と一の位に着目する方程式
基本例題
十の位の数が一の位の数より2大きい2桁の自然数がある。この自然数の十の位と一の位の数を入れ替えた数をもとの自然数に足すと88になる。もとの2桁の自然数を求めよ。
考え方
この問題の求めるものは「もとの2桁の自然数」です。しかしここで求めるもとの2桁の自然数を$x$とおいてしまうと、方程式が作れません。
そこで問題文に強調して書かれている「位」に注目して式を作っていきます。
10の位が$a$ 1の位が$b$の2桁の整数は
$10a+b$ と表せる
補足
この、各位の数値について別々に考えた表し方をここで覚えてしまいましょう。
例えば85といったら、十の位が8で一の位が5ですね。
ここで気をつけてください。
85を表すのに、十の位が8で一の位が5だからこれらを合わせて8+5とか、8×5などとやってしまったら間違えなのは解りますよね。
85とは、10の束が8個と1の束が5個あると考えて
$10\times8+5$
という様に考えます。(この考え方自体は小学校の時に学んでいます)
文字を使ってこの考え方をすると
3桁の整数なら$100a+10b+c$
4桁の整数なら$1000a+100b+10c+d$
となり、文字を使って何桁でも表すことができます。
ではどうやって方程式を作っていくか?
問題文に「十の位の数が一の位の数より2大きい」とあるので、ここを文字式で表してみます。
十の位を$x$とすると、一の位は$x-2$となります。
するとこの2桁の自然数は式で表すと
$10x+(x-2)$ となります。
注意!! $x+(x-2)$とか$x(x-2)$などとやってしまうと、上記補足の$8+5$や$8\times5$と同じ間違えをしたことになりますからね
「十の位と一の位の数を入れ替えた数」も問題文にあったので式で表と
$10(x-2)+x$ となります。
ここまで式を作れたら、方程式のほぼほぼ出来上がりです。
解答
もとの2桁の自然数の十の位の数を$x$とすると
もとの2桁の自然数は
$10x+(x-2)$・・・① となる。
また、十の位と一の位を入れ替えた自然数は
$10(x-2)+x$となる。
十の位と一の位の数を入れ替えた数をもとの自然数に足すと88になるから
$10x+(x-2)+\{10(x-2)+x\}=88$ これより
$10x+x-2+(10x-20+x)=88$
$10x+x-2+10x-20+x=88$
$22x-22=88$
$22x=88+22$
$22x=110$
$x=5$
よって求める2桁の自然数は①に$x=5$を代入して
$10\times5+(5-2)$
$=50+3$
$=53$ となる。